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内容説明
「西欧近代」批判が常識と化したいま、デカルトの哲学はもう不要になったのか。答えは否である。現代はデカルトの時代と酷似しているからだ。その思索の跡が有益でないわけはない。
目次
方法序説
哲学の原理
世界論
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
空箱零士
11
デカルトが近代哲学にもたらした貢献は「この世界が証明に値することを証明した」ことに尽きるのではないかと思う。「コギト・エルゴ・スム」はあくまで「神の存在証明」に至る手段で、完全性を有する神が存在することを証明したことで真理性の存在を証明したのである。現代から見れば「神」の存在そのものが疑わしく、「自我」の絶対性すら危ぶまれるが、ここで僕が思うのはそもそもデカルトが見出したのは本当に「神」なのか、正確には「神としか表現出来ないものか」ということだ。それはもっとシンプルに表現出来なかったか。例えば「世界」と。2014/09/29
inami
3
◉読書 ★3 デカルトの哲学全体の内容の見当→「哲学の原理」の序文が便利→「哲学」という語が知恵の探求を意味すること。知恵とは、たんに実生活における分別をさすばかりでなく、人間の知りうるあらゆることについての完全な知識・・自分の生活の指導のためにも、健康の保持やあらゆる技術の発明のためにも役立つような知識・・をもさす。この知識がこれらの目的に役立つものであるためには、それが第一原因から導き出されることが必要であり、したがって、こういう知識の獲得に務める・・これが本来、哲学すると名づけられること・・ふ〜〜っ2017/07/03
肉欲棒太郎
2
方法的懐疑やコギト・エルゴ・スムなどは有名だが、個人的には、運動の基本的な形は円運動ではなく直線運動であるという観点が興味深かった。レオナルド・ダ・ヴィンチを読んだときも思ったことだが、神学と科学は矛盾しないし、それどころか恐らく両者のモチーフは案外近いところにあるのだろう。2016/10/17
ユカ
2
一番、読みこんだのは冒頭の訳者:神野氏の解説ですが^^;、有名な「我思う故に我あり」は、その内容ではなく完全性に、その美しさに、つい涙ぐむほど。これくらいゆるぎないものを、人生で得たいものだ。真理を求めたいわけではなく、この恥ずかしさのない、堂々と出せる芯。柱。信条。ちなみに数学の辺りは読みとばし・・・ムリ。2014/05/18
kazutox
1
「方法序説」は読んだことがあるので「哲学の原理」「世界論」だけ読みました。本書を読む前は、デカルトは哲学と数学では後世に多大な影響を与えたものの、物理学ではヘンテコなこと言って失敗した人、と思ってました。その失敗した物理学を見てみようと思って読んだわけですが、意外にも筋の通ったものでした。慣性の法則や力の合成のようなことを言ってるし、機械的な自然観はとても現代的です。というわけで、デカルトは哲学と数学に加えて物理学でも多大な影響を与えた人、と思うことにしました。2022/08/24