内容説明
ひとを神々に贄(にえ)として捧げる、そんないまわしい時代は去らしめねばならぬ。諸侯の協力を得て、周公を獄から救いだした望(ぼう)は、さらに機略を尽し周召同盟を成立させる。ここに叛意はととのった、宿望の日である。決戦の朝、望の号令が牧野に響きわたった――。未到の時空の光と風を甦らせる宮城谷文学の金字塔、完結篇!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
67
ほんとうに宮城谷さんは伝説の人物をうまくエンターテイントにしたてあげてくれました。若い頃からこの最後の巻までこれだけの厚さの3分冊を読ませてくれるのはやはりすごいとしか言えません。周王朝を設立するにこれだけのさまざまな働きをなしたということで歴史を見直すというよりも物語を楽しめました。2015/05/18
アルピニア
49
下巻半ばを過ぎてもまだ軍の戦いは始まらない。周辺諸侯をまとめ、兵を鍛え、軍備、食料を蓄え・・。出兵は満を持した最終段階なのだ。仁徳を備えた周の文、武王のもと、望が軍師となり、召、蘇の王など多くの傑物が進んで自分の役割を全うする姿に胸が熱くなった。数百年続いた商を倒すには、固い絆と調和が不可欠だったのだ。残念なのは、武王崩御後の周国の混乱。それと望の国「斉」の様子も知りたかった。実際には、史料が様々で宮城谷氏はきわどさを覚悟しての執筆だったそうだが、歴史の原点を共に体験したようなずっしりとした読後感だった。2017/12/25
著者の生き様を学ぶ庵さん
35
望は召国が小子・奭(せき。後の召公)と意気投合せし時に商周革命を成し遂げたと謂ふべきなり。商の紂王はやすやすと革命を許さざるも、望の兵法・武術・人脈構築術は常人の及ばざるところにて、我が身は唯唯慨嘆する而已、かくありたし。さて、妲己が傾国振りは聞きしほどには非ず、紂王を諌め、「炮烙の刑」の廃止に一役買ひたり。宮城谷昌光老師が単なる悪女を描かざるは、夏姫や妺嬉に似たり。これも宮城谷昌光老師が著作の清々しさの要諦なり。2016/01/11
またべえ
25
古戦場は楽しい。なんて書くと、怒られそうですが、部隊配置や進軍、武将の立ち居振る舞いなどを妄想するのは楽しいのです。数十万の兵士達が駆け引きした関ヶ原も、今はのどかな田園風景が広がっています。三成陣所に登れば戦場は一目で見渡せます。でも、一日では巡り足りなかったことを思い出しました。約三千年前の中国。殷と周が牧野という地で激突します。双方合わせて百数十万。きっと、戦場を一目で見渡すことはできなかったでしょう。太公望は周のために戦場で奮闘します。その戦いぶりを現地の空気の中で妄想したいものです。2019/04/16
しーふぉ
23
歴史というよりも神話に近い話しでしたね。 斉の祖となる太公望の性格が、斉という国の特色となっている気がします。商売が盛んで、他国の者を受け入れる。2014/08/16