ドン・キホーテ 〈後篇 3〉

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ドン・キホーテ 〈後篇 3〉

  • ISBN:9784003272169

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

355
この巻はとりわけ興味深い小説構造をとっている。そもそも本書はシーデ・ハメーテ・ペネンヘリの書いたものを紹介するといった、やや回りくどいメタ・フィクションであった。さらに、この後篇が出版される前に『ドン・キホーテ』の偽書が流布していたために、セルバンテスはそれをも物語の中に取り込んだのである。この作品の人気を窺わせるとともに、きわめて近代的な小説作法でもあろう。さて、最後にキホーテはようやく妄想から解放され、静かにこの世を去ってゆくのだが、サンチョのみならず私たち読者もまた悲しみのうちに書を閉じるのだ。2016/04/28

やいっち

93
これで全六冊を読み終えたことになる。大作だし、再読することは恐らくないだろうと、一気読みはしないで、ゆっくりゆったり読んできた。巨大な水車を巨大な敵と観て戦いを仕掛けるドン・キホーテという、昔読んだ物語の冒頭のイメージが後篇を読むことで大きく覆された。物語に作者が出たり偽のドン・キホーテらが登場する物語が物語の中に繰り込まれたり、ドン・キホーテが正気と狂気を往還した挙句、最後には……。なるほど、全体を読んで初めて本作品が以後の作家らに甚大な影響を及ぼしたのもなるほどと思わせられる。楽しい物語の長旅だった。2021/08/08

扉のこちら側

80
初読。2015年1149冊め。【78-6/G1000】後編はドン・キホーテをとりまく人々の物語。騎士道物語の狂気に取りつかれて、周囲からも暖かい目では見られなかったドン・キホーテは、それでも人々に忘れられない印象を残した。アロンソ・キハーノからドン・キホーテ・デ・ラマンチャへ、そしてまたただの善人に戻って物語は幕を閉じる。前編1巻ではどうなるのだろうかと思っていたサンチョもなかなかいい従者になり、驢馬を抱きしめて涙するシーンには胸を締め付けられた。【第2回G1000チャレンジ】2015/11/22

みっぴー

56
〈ドン・キホーテ6/6〉なんかもう言葉が出ません。いっそ夢オチにしてくれた方が救われるのに。主人公のドン・キホーテは、騎士に憧れすぎて現実と物語の区別がつかなくなったという設定ですが、現代の人間だってそう変わりはしません。恋をすれば盲目になるのとどう違うのか。要は程度の差のみで、その実体は同一であると思います。人は世間体さえ気にしなければ、騎士にも魔法使いにもなれる。常識という概念をぶち壊し、己の道を突き進んだ老騎士に拍手。2016/11/17

たかしくん。

52
最終巻。ようやく公爵夫妻の家を出た二人が再び冒険に。どういうわけか、サンチョの鞭打ちの話が出たりと、狂気は相変わらず続きます。しかも贋作「続篇」にもあれこれと言及する部分は、またもやメタ状態炸裂。結局「銀の騎士」に敗れ故郷へ戻るところで、この長~い物語も終局に向かいます。妄想から解き放たれ、死を間近にする主人公。「友のサンチョ」にこれまでつき合わせてしまった奇行蛮行を詫びるシーンはグッときました。結局いいところのなかった主人公。喜劇続きだったにも拘わらず、結末は目頭の熱くなる寂しい終り方でした。2016/03/23

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