内容説明
〈存分に舞い狂うてみせてやる……〉江戸は安永――天明期、下積みの苦労を重ね、実力で歌舞伎界の頂点へ駆けのぼった中村仲蔵。浪人の子としかわからぬ身で、梨園に引きとられ、芸や恋に悩み、舞いの美を究めていく。不世出の名優が辿る波乱の生涯を、熱い共感の筆致で描く。第8回時代小説大賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
56
何度聴いても鼻の奥がツンとなる。噺では登り詰めるまでだが、果たして熱量の高い舞台人の生涯であった。加えて当時の平均寿命の短さもあろうが、サヨナラだけが人生だと言いたくなる程。日経読書欄で小泉環境相が座右の噺、書として挙げており興味を持った。 2020/09/18
財布にジャック
48
さすが、松井今朝子さん!読ませます。題名見た瞬間、仲蔵さんが狂っちゃう嫌なお話なのかと疑いましたが、ある意味狂ってる気もしますが、とにかく感動しました。ナカ坊と呼ばれる幼い頃からの梨園に生きる仲蔵の波乱万丈な生涯を、じっくりと読ませていただきました。歌舞伎に疎い私でも、充分ついていけました。芸にライバルに恋に友情に、本当に盛りだくさんでお腹いっぱいになりました。しかし歌舞伎の世界は嫉妬で渦巻いていて怖いです。2011/06/19
MATHILDA&LEON
28
実在した歌舞伎俳優の一生を追った本書。時代は江戸、娯楽が舞台鑑賞くらいしか無かったころの、爆発的な人気を誇るまでに成り上がる中村仲蔵。その裏には苦悩や葛藤、孤児の辛さや様々な苦難があり、一筋縄ではいかない人生がある。生きて生きて生き切った男の一生、美しかったです。2018/03/22
MIHOLO
17
表現者の闇とか、離れられない「さが」とか。すごいなぁ。お嬢さん芸の私が軽く「わかる」なんて言えないよ。この落語も聞いた事ない。聞いてみたいけど、やはり凄絶なのかな?だとするとちょっと体力ないと厳しいかな。2020/02/03
鯖
15
こないだえねっちけーさんのBSで勘九郎さんが演じてた『忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段』が凄まじかったので、こちらも。ドラマは彼の生涯の半分にも満たず、本の厚みでも半分以下までしか扱ってなかったんだなあ…。一難去ってまた一難、いじめはひどいし、逆縁はホントつらいし、田沼は失脚しちゃうし、たつやはかっちょええし、いい小説で、いいドラマだった。晩年の仲蔵が満足に足が上がらなくなってからの白髪頭のおっちゃんが「仲坊、しっかり」と叫ぶシーンは泣けた。推しは一生の推し。 2022/01/03
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