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内容説明
「シュタイナー教育」や「人智学」で広くその名が知られるルドルフ・シュタイナー。だが、アカデミズムからは「胡散臭いオカルト」の烙印を押され、一方の受容する側にも、その思想への盲目的な追従、偶像化が見られる。本書は、彼が立脚した第一次大戦下ドイツの時代状況やドイツ精神史における思想系譜、歴史経維に広範な省察を加え、その生を内側から活写することで、「みずから考え、みずから生きること」への意志を貫いた「理念の闘士」の思想的核心を浮き彫りにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
13
シュタイナー教育の入門書かな、と思って読んだら、シュタイナー自身の思想背景の入門書。著者が面白そうな人ではあるが、当初の目的とは違うところに着地してしまったなあ。それはそれで楽しかったが。2012/04/27
iwri
6
入門書としては著者の主張とシュタイナーの思想がゴチャマゼになっており不適格。シュタイナーの後半生~晩年を時代背景と共に追っていく点はよかったが、ところどころに著者自身の反西洋主義が透けて見える。結果的に、『いか超』の畏敬の立場をあれだけ称揚しておきながら、著者自身が批判する相手と同じ振る舞いをしている点に気づいているのだろうか。また、キリスト論を中核としながら、極めて表層的な部分にしか触れていない点は、著者がキリスト論を理解していないのではないかと疑わざるをえない。2010/12/31
antoinette
5
シュタイナー入門としては2冊目以降に読んだのが正解だった。西洋思想史の「夜」の面が簡潔に説明されているのがよい。ヨーロッパでは正統教会からの苛烈な迫害で、異端・異教的な思想は隠れたもの=オカルトとならざるを得なかった、と。あと神智学協会とブラヴァツキー夫人のことがずいぶん持ち上げられていて途惑った。アニー・ベサントやアンナ・キングスフォードがただのオカルティストとは片付けられない人々(特にフェミニスティックな意味で)らしいとは思ってたが……著者の言うことが妥当なら、認識を改めなきゃいけないんだけど(続く2015/09/20
Yuji Hamano
4
シュタイナーの思想の生まれた社会的背景をしっかりと知ると事が出来る。シュタイナーを知る上で「オカルト」というものがどのような背景で、今の様な位置づけになってきているのかという事を歴史と社会情勢、特に「オカルト」であると決めた側のキリスト教社会の当時の実情をふまえ現在の「国家」という思想に至たるまでの解説がされており、ステレオタイプに聞きかじっている「オカルト」との認識の差の大きさに気づかされた。 2015/10/31
giant_nobita
4
シュタイナー思想を理解するための前提となる知識(キリスト教・オカルト・近代ドイツ史など)について紙幅を多く割いていて親切な反面、シュタイナー自身の思想やその実践についての記述は少なくなっている。「入門の入門」といった感じ。2013/12/30