内容説明
話題の映画原作! 椿山和昭は働き盛りの46歳。過労で倒れ、現世と来世の中間にある中陰の世界で目が覚める。やり残した仕事、愛する家族を思うと、どうしても自分の死を受け容れられず、現世に戻ることを願い出る。許されたのは初七日までの三日間。中陰でかけられた「邪淫の罪」の疑いも晴らすため、美女の肉体を借り現世に戻るが――。死後の世界を涙と笑いで描いた感動的なファンタジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HIRO1970
277
⭐️⭐️⭐️浅田さん4作品目。ここまで面白いと読まないのは人生における損失ではないかとさえ思えてしまう程です。フィクションである小説は作者の力量次第でこんなにも豊かなドラマに変わる物かとその才能の奥深さと広がりにすっかり参ってしまいました。このつぎも楽しみです。2014/06/20
みも
232
読友さんのレビューに惹かれて。大いに笑い、泣きました。王道の大衆小説で、ある意味予定調和と言えようが、それが作品の面白さを奪う事は全くない。何故なら確かな起承転結で構築され、なにより読者が娯楽小説に求める喜怒哀楽全てが凝縮されている。ペーソス漂う人情劇をベースとして、人間の愚かさの中にある優しさや温かさを描く人間賛歌。随所に挿し込む社会風刺がエッジを効かせ、ほんわりとなりがちなファンタジーを引き締める。強くお薦めしたいが、東野圭吾氏『ナミヤ雑貨店の奇蹟』辻村深月さんの『ツナグ』に興醒めされた方には不向き。2020/06/29
masa@レビューお休み中
190
死人は口を開かないはずだ。ところが、ここに出てくる三人の死人は口を開く。それどころか、肉体を持って自由に動き、話すことまでできてしまう。突然死してしまった三人の男たち。デパートに勤める椿山課長、ヤクザの親分である武田、訳あり小学生の雄太。彼等は死してなお現世にやり残したことがあるといい、極楽に行かず現世に舞い戻ります。生前とはまったく違う姿で…。望みが叶った彼等の行く末は順風満帆ではなく、実に波瀾万丈だったのです。知らぬが仏なのかもしれないけど、彼等は傷ついてもなお真実を知りたかったのだろうなぁ。2017/02/13
ehirano1
181
やっぱり弄ったかwww2014/11/16
utinopoti27
175
接待中に突然死した椿山は、あの世の入り口で、掛けられた邪淫の嫌疑を晴らすため、初七日まで現世に戻ることを許されます。別人に姿を変えた彼が見た現実は信じ難いものだった・・。職場の上司や部下、家族、友人から自分はどう見られていたのか。知らなかった自分自身を次々と発見していく過程で、家族の真実や本当の愛が見えてくる。円熟の筆致で綴る、あふれるユーモアと哀愁を帯びた『沁みる』物語。日々を悔いなく生きることなんてできないけれど、自分を信頼してくれる人たちに常に誠実であろうと思わせてくれる異色のファンタジーだ。2019/06/02