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内容説明
動物園の熊舎に身を投げた主婦、「葬式代がない」とアパートの床下に妻の遺体を埋めた夫、4匹の愛犬をつれて鉄道自殺を図った男、幼児誘拐犯・女2人の“主人と奴隷”の関係、電動式自動遥拝器を作ってひたすら「供養」する男──世の中にはときどき、不幸や悲惨さを自分から選びとっているとしか思えない人たちがいる。過酷な人生を生きるために奇妙なロジックを考え出し、不幸を「先取り」する、ちょっと困った隣人。いったい何のために自ら不幸を招くのか?
目次
第1章 理解しかねる隣人たち(不自然な人たち;ああ、そうですか;大晦日の電車 ほか)
第2章 奇妙な発想・奇矯な振る舞い(幸運の法則;運勢曲線;不幸の先取りについて ほか)
第3章 悲惨の悦楽・不幸の安らぎ(熊に喰われる;虎と熊;二十六時間の誘拐 ほか)
第4章 グロテスクな人びと(変人たち;狂気予備軍;供養する男 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みゃーこ
77
「いけないことをついやって」みたくなる人の欲求…。無意味で損しかしないけど人を駆り立ててやまない行為、日常のごくささいな死の欲望…。フロイトはこの欲動を「死の欲動(Todesutrieb)と唱えた。心のバランスを失った人たちはある種の現実感を喪失しているからこそ、奇矯なロジックがあたかも信託のように当人の行動を律することになるわけである。「えてして精神を病んだ人々の言動は支離滅裂ではなく、むしろ異様に論理的なだけである」(本文より)という。著者の時折見せる弱さ、変わり者ぶり、性格のゆがみ、毒舌が面白く、愛2013/09/16
とろこ
71
平成12年に刊行された本。それ故に、「精神分裂病」や「痴呆症」など、現在は使用されない表現が頻発する。また、学術的ではなく、著者の個人的見解が記されたエッセイのような新書である。実際に新聞に載った<奇妙な>事件や、精神科医である著者が診察した患者の症例についての考察が多い。理解に苦しむ自殺方法、目的が分からない嗜好。それらは、破滅願望ゆえなのか?また、狂気と正常の境目など、本当にあるのだろうか、などということを考えさせられる。様々な本について取り上げられていたが、ネタバレになっており、残念である。2018/11/28
JILLmama
29
文章力のなさがだいぶ滲み出ていて、 頭に入ってこなかった... 虎に喰われようとして、熊に喰われて亡くなった女性や、謎の装置をひたすらつくり続ける男性、とか。 色々な精神病の方がいるなぁ。 という感想のみです 笑2018/12/23
harass
22
題名から予想していた内容とちょっと違うと読み始めて思ったが、この著者らしい本だった。正常な生活を送る人の奇妙な行動や三面記事の異様な事件などを著者が考察する。簡単に割り切れない部分をすくい取るような文章が巧い。ただしかなり癖がある著者の考え方がある。無勝手流なところがあってどちらかといえばエッセイかと。怖いものみたさ的な読み物としておすすめする。2014/04/11
しげ
17
人間にとっての精神のアキレス腱は「こだわり、プライド、被害者意識」だという言葉が印象に残りました。そのことが頭に入っていれば「あ、こだわっているから辛いんだな」とか「必要以上に被害者意識にとらわれてしまっているな」と、自分の心を客観的に見ることができて楽になるような気がします。また、自分の内側にあるモヤモヤした気持ちを理解するために「言葉」を持つことがとても大切なのだと感じました。もしかしたらわたしは、本を読んで「言葉」を得ることで「生きやすさ」を得てきたのかもしれません。2013/10/15
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