内容説明
ああ、ゴクラク、ゴクラクやね。湯の中でほどけてゆく心と体。ケンコウランドで出会う女たちのさまざまな生の形。――「いろんなものを流しにくるのよ。家の小さな排水口じゃ流せないものもあるから」と1人の女は言った。「なにを流すの?」「亭主に男」それに、と女は付け加えた。「昔のことは全部流したいねえ」それはなかなか流れてくれない、昔はしつこい、と言った。──本文より
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ひねもすのたり
2
いろんなアンソロジーで名前をみかける稲葉真弓さんの長編。 健康ランドを行き来する人たちの描写が秀逸でした。 それぞれの物語に深く入り込んでいくと読み物として面白くなっていくんだろうと思いますが、そこまで描かないのが稲葉さん流なのかもしれません。 健康ランドはあまり行ったことはありませんが、この雰囲気はパチンコ屋のそれに似ています。(笑)2011/09/25
フワフワ丸
1
絶版本の為手に入れるのに少々苦労しましたが読んで良かった。「ケンコウランド」の雰囲気や客の特徴、主人公の心情などがリアルに伝わってきました。ふと読みたくなる。2017/01/04
コジターレ
1
読メ登録前に読了。健康ランドが舞台になっていて、独特の味わいがある小説だった。
みっく
1
ケンコウランドが舞台になっています。面白い、とまではいかないけれど、好きな文体ですね。2010/01/10
路雨
0
「そのどこか輪郭のはっきりしない、時間と空間の混乱が私を包む。〔…〕いきなり日常から遠く離れた場所に来たような気がした。電車の中には、空港のある駅に行くのだろう、旅支度の若者や、仕事らしき書類を広げているサラリーマン、都心のデパートの袋を膝に抱えたまま眠り続ける女など、ありふれた光景があふれていた。けれどもここには、どこにも労働の影はなかった。〔…〕外に、広々とした田園が広がり、幹線道路には車が絶えず行き交っていることが、かえって不自然に思えるような別の時間が流れているのだ。」2025/07/01




