集英社文庫<br> 鏡をみてはいけません

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集英社文庫
鏡をみてはいけません

  • 著者名:田辺聖子
  • 価格 ¥555(本体¥505)
  • 集英社(1999/09発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087471038
  • NDC分類:913.6

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内容説明

朝ごはんを一緒においしく食べられる人と住みたい――。そんな思いが叶って野百合は仕事で知り合った子持ちの律と同居をはじめるが…。10歳の宵太の世話をやき、元気の素の食事を作る暮らしはなかなか素敵で心弾む。が、ふとなしくずしに男の人生に取りこまれていくような不安を感じる。私はなぜここに居るのだろうか。女が美しさを求めて、自分の納得のいく居場所を模索する愛の長編小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

73
面白かったです。そして何よりご飯が美味しそう。朝ごはんを一緒に美味しく食べられる人と出会い、元気の素となるご飯を作る日々は心が弾むと同時に不安になるのもわかります。ここにいる理由は何だろう。そんな想いの中で居場所を探していくのかなと思わされました。それでもハッピーエンドに続くハッピーエンドで幸せと可愛らしさとユーモアは健在なんですね。自分の意味を探す愛の物語に引き込まれました。2018/05/15

優希

56
朝ごはんを一緒に食べる。そんな願い事が叶うのが良いですね。元気の素となるご飯を食べる日々は心が弾むのと同時に不安定になるのが何となく分かります。男性の人生に取り込まれる不安。何故ここにいるのがという疑問。自分の居場所を模索する気持ちがあるのですね。それでもハッピーエンドに続く幸せとユーモアに満たされています。自分の意味を考える恋愛にときめきました。2021/06/04

ほほほ

16
人生において朝ごはんを食べることを何よりも大切にする男、律と、その律と前妻との子どもの宵太のために朝ごはんを作りに小林家に住み込み始めたイラストレーターの野百合。仕事と家庭、どちらが自分の居場所なのか揺れながらも大らかにあっけらかんと明るい野百合の姿が田辺聖子さんの小説らしくて良かったです。何よりご飯の描写が美味しそうで美味しそうで♡︎愉しい読書でした。2018/06/19

June

16
田辺さん特有の明るくユーモラスな筆致で、子持ちの男の家で同居をはじめた女を通して、家族ってこんなものでしょとふんわりと伝えてくれる。日常には小さなすれ違いはつきもので、時に気持ちはアッチへ行ったり、コッチへ行ったり。自分の居場所はほんとにここかなと思ってみたり。女は自分の個性を失い相手の人生に組み込まれていく虚無感を感じることもある。だけど、同じ屋根の下で食事を共にすることは濃密な時間が積み重ねられていくこと。女は人生や仕事が充実していない時、鏡を見てはいけないらしい、それはきっと美しくないからみたい2015/12/27

もぐみそ

13
絵本作家の野百合が、バツイチ男性の律、その息子の宵太、律の妹の頼子の暮らす家に転がり込み、朝ごはんを作るという話。作家と兼業していた会社も辞めてしまい、なし崩し的に男の家に居着いてしまうことに疑問を感じ、律の家では子供のことも家庭のことも部外者扱いされてしまう宙ぶらりんな状態。そこから野百合が幸福とは何かを考えていく。だいぶ古い作品だけど、現代の女性の生き方にも共通するものを感じた。そして、作中に出てくる料理が美味しそうだった。2018/09/09

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