内容説明
彼を殺したことを告白します……枕元にいた映画監督のトマスを神父と誤り、死の間際、老人はそう囁いた。意識が混濁した老人のうわ言だったのか?時を同じくして、26年前の競馬界で起きた変死事件を題材に新作を撮影中のトマスは、何者かからロケを中止しろと脅迫を受ける。老人の告白と脅迫には関係が? トマスは不屈の意志でロケを続けるが、遂に凶刃が彼を襲った! 映画界を舞台に放つ、シリーズ屈指のサスペンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bookkeeper
41
★★★★★ 再読。主人公は映画監督。末期癌の知人を看病中に生涯の秘密を告白される。大型ナイフによる凶行が頻発する中、26年前の競馬会の醜聞を題材とした映画は完成するのか…? 知人家族のトラブルに巻き込まれ、トラブルメイカーな作家他癖の強いスタッフをまとめ上げ、自らも命を狙われる。いつにも増して多忙な主人公。人生の黄昏を迎えた人たちの様々な人間性の描写が味わい深い。プロデューサーやメガスターなど関係者と培っていく信頼関係が心地良い。憎たらしい敵がいるほど面白い事が多いが、姿なき敵のパターンでは健闘している2023/03/09
背番号10@せばてん。
33
【1995_週刊文春ミステリーベスト10_海外7位】【1996_このミス35位】2000年11月21日読了。競馬シリーズ第33弾。ディック・フランシス、2010年永眠。自分に多大なる影響を与えてくれた、巨星に心より合掌。2000/11/21
kochanosuke
14
気まぐれにシリーズ再読中。どの巻とっても面白さ保証付なこのディック・フランシスの競馬シリーズは、ぼくにとっての"無人島に持っていく本"かな。シリーズを読みはじめた頃は、平均年令30歳くらい(?)な主人公の誰と比べてもぼくも若くて、とにかくシリーズのどの1冊の主人公をとっても、同じ男として"理想"に思えて仕方なかった。能力や人間性のどの面をとっても。シリーズ第33作になるこの『告解』の主人公は若く有望視される映画監督トマス・ライアン。フランシスの主人公に共通する、育ち方や経験から来る年齢よりも老成したところ2012/09/15
bapaksejahtera
11
主人公は映画監督。まだ30歳にも拘らず既にある成功を収め、今回は中級映画乍ら実質的な製作責任をも委ねられている。勿論嘗てアマチュア障害騎手の経験もある。彼は映画製作の途中で縁の深い競馬関係者の末期の病床に臨み、その折主人公を神父と誤認した病人から昔の殺人の「告解」を受ける。その後主人公の映画製作は殺害威嚇を始めとする様々な妨害を受けると共に、殺人や破壊事件が周りで生ずる。映画製作を巡る原作者と製作側との軋轢や製作現場あれこれが克明ではあるが、犯罪動機や実行犯構成等、今回はやや苦しいかとも感じつつ読了した。2022/08/12
よしだ まさし
8
競馬シリーズ33作目となっても、まったく飽きさせない。ディック・フランシスというのは、本当に素晴らしい作家だったのだと再認識させられる。 ただし、本作の場合、主人公は過去の事件、現在の事件の謎を解くために東奔西走し、それと同時に映画撮影も続けなければならず、あまりにも忙しい。事件がなくても、映画撮影をめぐるトラブルもあるので、テーマがやや分散してしまっているという印象は避けがたい。 とはいうものの、抜群に面白いんだけれどね。2017/06/02