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内容説明
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伝説の日本画家、田中一村のただ一冊の伝記である。画壇に背を向け、生涯妻を娶らず、自らの才能だけを信じ、貧窮をものともせず、ひたすら絵をかいた69年の軌跡。東京・千葉・奄美大島と移り住んだ一生を追う。本書は『アダンの画帖』として発行されたものを電子化したものである。
※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
目次
東京時代(米邨童 模範中学生 東京美術学校 ほか)
千葉時代(農業 座禅会 蓮上観音 ほか)
奄美時代(旅立ち 和光園 与論行 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
62
来月奄美大島へ行く、そう言ったら行きつけの珈琲屋店主が貸してくれたのがこの本。たしかに島ではこの人の美術館へ行こうとは思っていたが、それにしてもマニアックな自伝だなぁ…。そう思って読み始めたのだが、たちまちこの画家の生きざまに虜になった。なんと絵に対しストイックで、自然に対し優しいのだろうか。愚直で不器用で天才な、田中一村という画家を包み込んだこの島に行くのが、さらに楽しみになった。2016/08/22
Akihiro Nishio
25
日本画家の田中一村の生涯。幼少より才能に恵まれ、それを発揮してきたが、困窮と病のため東京芸大を退学。以降、千葉で農業をしながら、自らの絵を求め続ける。完全な軍鶏の絵を描くたエピソードなど、尋常ではない。50才で退路を断って奄美に移住。5年職工として働き、3年絵を描くという生活。やがて世間での評価を完全に超越し、命を削りながら美を求める。結局、生前には一度も個展さえ開くことができなかったが、圧倒的な作品群を残した。50才を過ぎて自ら道を求めるため奄美にまで移住するというところが、今の自分には一番響いた。2018/11/01
量甘
11
奄美の地で孤高の生涯を終えた日本画家、田中一村伝。生活苦と闘いながら自分の信念を曲げず、ひたすら自らの絵を描き続けた。奄美の大自然を感じながら、生命力溢れる作品をぜひ鑑賞したい。2023/05/27
月
11
大自然の呼吸と自分の生命が共鳴するところから芸術は生まれる。圧倒的な生命力がみなぎる奄美の自然に自分の生命と感覚を研ぎ澄まして対峙するとき真の芸術は生まれる。一村の一生は不遇であり、孤高の生涯ではあるが、もっとも純粋に、強く、自分の感性で、生きた画家である。晩年の閻魔大王への土産品ともいわれる大作二枚、アダンの海辺(本書ではアダンの木)と不喰芋と蘇鐡(クワズイモとソテツ)は、先日佐川美術館の一村展で鑑賞。但し、残念ながら後者は前者との展示替え品の為、カラー複製品でした。死しての評価も一村は本望であろう。 2018/08/28
岡本匠
9
田中一村の名前は知っていた。しかし、ここまでストイックに、まるで苦行僧のように芸術を追い求めていた人だとは知らなかった。精細に絵を描くためには自分自身をぎりぎりまで追い込んでいく。多くの人には理解されない。性格も狷介に見えてしまう。それでも、周りには理解者が現れるところは多少の救いがあるとはいえる。独特の色彩による日本画は、直に見なければいけない気がする。奄美島に行けば、美術館がある。でも奄美は遠いな。2017/04/02