内容説明
敏腕社員の依田は家庭的な真純との結婚を控えていた。しかし性に奔放な桐江との関係も続けたい。式の前夜、密かに桐江と過ごした依田だが、その夜の甘い会話には艶麗な罠が潜んでいた…!(「二人の思い出」より) 男女の愛憎を描く傑作心理サスペンス集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
103
「幸せになりたい!」の願望は、人間の本能であり本心なのだろう。玉の輿を夢見る花嫁も然りだ。また、結婚した途端に豹変する男もいる。「こんな男だと思っていなかった」と…悔やむ。しかし、喧嘩したって一緒にいなければならない。―それが夫婦なんだから。そんな人生の一端を切り取った男と女の愛憎を描いた七つの短篇。乃南アサの筆先は見事です。巧いです、面白いです。しかし、ところどころでゾクッと背筋が寒くなる話です。読み終えて、「女は舐めたらあかん!」と改めて思った。2018/10/23
モルク
84
幸せになりたい主人公の7つの短編。ただ、幸せになりたかっただけなのに…という思い、想い、そしてひとりよがりの思い込み。背筋がゾクゾクっとくるもの、身勝手な男と女の結末に溜飲が下がるものなど楽しめた。略奪婚の結末「背中」と、二股をかけていた男が結婚後も片方を愛人として続けようとしてしっぺ返しにあう「二人の思いで」がよかった。2018/11/06
Take@磨穿鉄靴
84
非常に良かった。タイトルから勝手にほんわかしたお話かと思ったけどかなりキレ味の良い短編集だった。「背中」が妙にリアルでゾクゾクした。どの話も印象的で短くギュと詰まった感じが好印象。叩いて伸ばして引っ張れば長編になりそうな物も潔く短編として仕上げていて非常に好印象。下手なホラーよりよっぽどゾクゾクさせてくれる。乃南氏の短編集、他にもあるなら全て読みたいと思った★★★★☆2018/08/28
ココ
46
ハラハラドキドキのサスペンスとは違う、7編の「わ~怖~い」お話たち。何が怖いって、ごく普通の人達が、ただ幸せになりたいだけなのに、取り返しの出来ない失敗をしてしまう。 登場する女たちに恐怖を唱えながらも、頷きながら何処かで共感してしまう自分が又怖い。乃南アサ、流石です。2018/11/09
坂城 弥生
44
なんというか、人の闇の部分を抜き出したらこうなるのか、と思わされる作品ばかりで読後感はあまりよくない。ただ最後の物語は旅立ちの物語で悪い人に天罰が下る話だったから順番としては良かったのかも。 それにしても男の被害妄想や、勝手な思い込みにこんなにイラつくのは私が女だからなのかな?2019/09/07