内容説明
『この三年ほどの正月、わたしは不思議な、そして精神的にはとても贅沢な過ごし方をしている。学生時代の教授と二人だけのゼミナールで元日の午後を過ごす、のである。教授は今年九十三歳、わたしは六十八歳。』忠君愛国以外に生き甲斐なしと信じ、海軍の少年兵に志願入隊した著書は、敗戦によって価値観の根本的な考え直しを迫られ、東京商大に入学。そこで出会った理論経済学の山田雄三教授こそ、著者の生涯を決めた人物であった。出会いから四十余年。探究心で結ばれた、心洗われる“人間の絆”を通して著者自身の精神形成史を綴った感動の一冊。
目次
第1章 生涯を決めたひと
第2章 静謐のひとに激動の世
第3章 二人ゼミナール(アームチェア・エコノミストの二種 資本主義と社会主義 合意を求めて)
第4章 引退後も「おや」の連続
第5章 花失せては面白からず
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Masanori Yamamoto
4
難解ではありましたが、読み応え充分でした。後半に進むに連れて読書スピードが加速するような、引きこまれてしまうような、そんな感覚がありました。読むべき時に出会えた本だったのかなと思えます。感謝です。2014/05/15
アルゴン
3
★★★☆ 一学生が恩師のことを回想したエッセイ。そういう感想になるのも、話の中にちょいちょい出てくる経済談義を「難しい」と感じてしまうのも、自分が全く勉強しなかったからに違いありません。2014/11/28
watausa
3
教授と教え子の長年に渡る師弟関係の温かさに感銘を受けました。また「二人のゼミナール」の項目は師弟の勉強会の様子ですが、内容が今現在も議題にされるべきことであり、教授の答えが今の日本経済の難題に対する一つの答えになっていることに驚かされます。2011/10/24
うりぼう
3
花が咲いているうちに、愛でることが大切。聞くべきことは、後悔のないように聞いておこう。2002/12/28
うにこ。
3
内容は経済学、社会学、外交、国際問題など多岐に渡ってて、ほとんどちんぷんかんぷんなのですが、でもとても好きな本。 城山さんの、山田教授に対する思いがとてもまっすぐに伝わってきて、その師弟愛がとても心地いい。 いい本だと思います。2004/10/08