内容説明
生まれ変わりたい、自分を取り巻く家庭や社会から解放されて、自由に生きたい――幼い頃からそう望み続けてきた十六歳の少年・我利馬は、自作のヨットでこの国を離れる決意をした。貧しい生活の中で何とかヨットを完成させた我利馬は、家族の誰にも告げずにたったひとりで航海へと出発する。さまざまな苦難の末、我利馬がたどりついた場所とは? 自立への道を模索する少年の姿を描いた長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
宮永沙織
7
少年の成長とともに私の心も軽くなった。読む時期を間違わずに読めばこれはかなり名作です。生きる事に前向きになれました。2010/08/04
Junya Akiba
4
出張ではあるのだが、遠出をするので旅先で読もうと借りてみた。まさに今の自分を捨て、新たな人生を生きようと旅にでる少年の物語。絶望的な家庭環境と貧困の中で精神的に歪んでいく主人公。しかし、遠くに在るだろう夢の国を信じるところから変わっていく。「コンティキ号探検記」に触発されヨットの自作を目指し、乞食風のおっさんとの会話で徐々に視野が広がっていく。巨人の国の出現は唐突だったが、ここで人との繋がりをしっかりものにして新たな人生を歩み出す前向きなエンディング。旅の途中で読むのにはとても良い本だった。2017/04/30
hoguru
2
私の本を子どもの本棚へ。いつか読んでくれるといいな。
縁栞
1
★3 ≪ 生まれ変わりたい、自分を取り巻く家庭や社会から解放されて、自由に生きたい ≫ こんな感じのことは、誰もが一度は考えたことがあるのではないでしょうかw なんだか私も旅に出たくなりました。 「自分探し」という名の旅にね(キリッw
村瀬風
1
古い新潮文庫版で読んだ。久々に、小説を読んでいて世界が広がる感じを覚えた。作者の筆は、主人公の少年を肉体的・心理的に容赦なく追い詰めるが、その度に少年は試練に打ち克ってみせる。話の運びに、どことなく作為めいたものを(もとより作為ではあるが)感じなくもないが、少年の真摯な思考と稀有な体験から生まれる言葉の厳しさは、心を打つというか、心に急迫するようなリアリティを持っている。彼に目線を重ねられる感性があれば、誰が読んでも、得るものがきっとあるだろう。2015/09/05