内容説明
ゲーテの臨終の言葉を法医学的に検証し、死因追求のためとはいえ葬式を途中で止め、乾いた田んぼでの溺死事件に頭を悩ませ、バラバラ殺人やめった刺し殺人の加害者心理に迫る……。監察医経験三十年、検死した変死体が二万という著者が、声なき死者の声を聞き取り、その人の人権を護り続けた貴重な記録。
目次
ゲーテの言葉
葬式待った
死因をさがせ!
溢血点を追え
魂の重さ
下心
生きかえった死体
先入観
白衣の天使
出生三説
黒い砂
ジグソーパズル
二人の真犯人
テラピアの叫び
死体の涙
母子心中
マリリン・モンロー怪死事件
八何の原則
しらを切る
結論は同じでも
死体は知っている
「死」を追い続ける
死者に言葉あり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
27
「検死とは死者との対話である」という言葉が印象に残った。また著者の別の本では「ししゃは怖くない。怖いのは生身の人間だ」という言葉が載っていたような記憶がある。法医学も科学的にどんどん進歩しているが、まず検死官の最初の見極めが大切だと感じた。2014/08/02
kinupon
10
死んでも人の尊厳は守られなければいけない。2013/11/27
†漆黒ノ堕天使むきめい†
7
死体を調べるだけでも、多くのことが分かるのだなとしみじみ感じる。これを気に法医学についても我々も学んでいき、より良い生活に活かすことが大切かもしれないと感じる。2016/05/07
青木 蓮友
6
事実現実、そして物質。目に見えることしか書いてないことで、かえって謙虚というか、目になんか見えないことが凄みをもって立ちのぼってくる感覚。この行間の濃密な気配よ、、しみじみと圧倒される。人間および大自然を前にして、あらためて畏敬の念をもって「死んだらおしまい」なんだなと思った。死んだらどうなるかー、過去生はー、なんてそんな畏れ多いこと考えてる暇があったらトイレでも掃除しよう、猫を撫でよう。妙に清々しく吹っ切れるような読後感、これは完全に癖になってしまった。いわゆる最悪の事態、逆算の快感、どん底からの。 2017/10/20
SKH
5
監察医による昭和事件簿。2014/08/10