角川文庫<br> ろまん灯篭

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紙書籍版価格 ¥440
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角川文庫
ろまん灯篭

  • 著者名:太宰治【区分表記なし】
  • 価格 ¥440(本体¥400)
  • KADOKAWA(2014/10発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041099032

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内容説明

〈兄妹五人あって、みんなロマンスが好きだった〉。退屈になると家族が集まり、“物語”の連作を始めるのが習わしという風変わりな一家、入江家。兄妹の個性的なキャラクターと、順々に語られる物語世界とが重層的に響きあうユニークな家族小説「愛と美について」ほか、「ろまん燈籠」「秋風記」など、バラエティに富んだ秀作七編を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

buchipanda3

70
昭和14~16年の7篇収録。「秋風記」冒頭に詩が引用され、読後、改めて読むと主人公が終いに持った心情を透かして見れたように思えた。女性Kとの関係に対する気持ちが仄かに残る。トラタタ、トラタタ、リズミカルな文章や省略された思わせぶりな会話がいい。「ろまん燈籠」リレー創作が楽しそう。変幻自在の文体。こんな小説もありなのだなあと感服。家族みながユニークでそのやり取りに吹きっぱなし。「女の決闘」森鴎外訳の小説をDAZAIが脚色。ノリのいい文章、そして面白い創作の試み。著者の多彩で意欲的な小説作りを味わえた作品集。2019/06/10

桜もち

63
走れメロスにしろ、ろまん燈籠にしろ、清貧譚にしろ、太宰は古今東西の物語から空想を膨らませて創作するのがうまい。古典は基本と思わせてくれる。どこからどこまでが換骨奪胎か、分からなくして読者を撒いているのもすごい。斜陽みたいな長編も良いけど短編も良い。読んでるだけで、かなわない。太宰がラプンツェルの話の続きを書いてるなんて知らなかった。しかもこれが滅法おもしろい。結婚から始まる苦痛な毎日をこれでもかって。結婚したくなくなるじゃん。なんで心中したんだろう。生きるって言ってたのに。2017/05/29

Mishima

43
ぼんやり太宰は好きだと思ってきた。「ろまん灯籠」は、彼と私の運命の一冊とすら。コアな「彼」を集めた「逢引書」に感謝しませう。解説がすこぶる奮っている。「時代は少しも変わらないと思う。一種の、あほらしい感じである」や「日本は無条件降伏をした。私は、ただ、恥ずかしかった。ものも言えないくらいに恥ずかしかった」とかの赤裸々さにはうっとり。”太宰は不謹慎”。不謹慎上等。太宰アレンジ”ラプンツェル”はエッジの効き具合がアレでコワレ具合がソレで、「古典風」は支離滅裂奇天烈痴女奇行狂気偏愛変態で笑い止まらず。贅沢だわ。2019/06/18

Mishima

39
表題作が特にイイ。洋画の大家の家系、個性的な五人兄弟。長男長女次男次女末弟は退屈が過ぎると物語を順番に綴り始める。「ラプンツェル」を下敷きか。垂涎ストーリーに身悶えしきり。ラプンツェルの魅力をはちきれんばかりに膨らませてる。美しくも醜悪な、野生味溢れる上品さと、影のある強かさと、潔癖なだらしなさと、残酷なかよわさを兼ね備えた、勝ち目しかない、多面的にも程があるヒロイン像。兄弟の個性と筋書きの相関が絶妙。幸・不幸のヘアピンカーブ。約5ページおきの、太宰風格言に、ふうん、と感じ入る。7編収録。どれもイイ。2022/02/04

inami

27
◉読書 ★3.5 短編7作品。映画監督の岩井俊二氏の解説がとてもしっくりくる・・各作品を「エロス(生)」と「タナトス(死)」の相剋の図式で解説していて実に分かりやすい。岩井氏は【高校生の時に読んだ『人間失格』、「恥の多い生涯を送って来ました」という一行に身震いし、これは俺だ。俺の話だと思って太宰にハマり、『人間失格』は障害記念すべき一冊となった】と・・さらに「太宰が好きになるかなれないかは、この一点に尽きるのではないだろうかと・・自分は、「人間失格」含め7冊ほど読んだがそこまでハマりきれてはいない 笑2020/05/21

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