内容説明
「あの二人が欲しい」慶長三年、天下盗りに王手をかけた徳川家康が呟いた。二人とは、故上杉謙信の跡を継ぐ上杉景勝と軍師直江兼続…家康が最も恐れた男たちである。が、家康が老獪に足場を固めつつあるとき、真っ向から対立してきたのがこの二人だった!“義”を重んずる謙信たらんとする景勝と兼続の超然たる生きざまを描く!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キャプテン
36
★★★★☆_「*不定期開催*日本小説100名城フェア」No.005。【長谷堂城(山形県山形市)】北の関ヶ原と言われる、慶長出羽合戦の舞台となった。北にそびえる山形城の出城のような位置付け。行ってみたい。/後上杉家といえば上杉謙信。その上杉謙信という神レベルにまで到達したスーパースター亡きあと、謙信の意識を継いだ者たちの運命。先人が偉大すぎる辛さは、きっとたくさんの人が感じてきたこと。上杉景勝、直江兼続も例外ではないが、彼らの大きさに、とにかく、清々しさを感じることができた。なんと、読感の良い作品だろうか。2019/06/08
アイゼナハ@灯れ松明の火
36
景勝と兼続の上杉主従を主役に据えた「もう一つの関ケ原」。昨年、大河ドラマの『天地人』を見てた時には、戦略どおり挟み撃ちの構図になったのに何故撤退する家康を追撃しなかったのか理解に苦しむとこがありましたが、本書の上杉主従の葛藤を読んで納得。常に謙信に比べて自らの器を見つめ続けた景勝と、名補佐役ではありながらその覚悟の程の限界を噛みしめる兼続・・・大変面白かったです。東に向かうに当たって不安でいっぱいな家康の描写も新鮮。風野さんの戦国歴史物、他にも出てるのかな?もっと読んでみたいです。2010/11/19
aika
32
敗北に美しさを感じたのは、初めてです。「勝つことによって閉ざされる道もあれば、負けることによって開かれる道もある」謙信の影を背負い、どこまでも義を貫き通す景勝と、天下を想う兼続、不二であった主従に少しずつズレが生じる様には、切なくなりました。上杉家といえば、義を掲げる清廉なイメージでしたが、義のために戦うのではなく、戦うための義なのだ、という言葉に、義とは血みどろの戦乱の世を生き残るための拠り所なのだ、という新たな発見がありました。謙信も景勝も拠り所を求める、やはり人なのだなあと人間らしさを感じました。2016/10/29
雨巫女。@新潮部
13
風野さんの描く景勝と兼続は、一気に読ませてもらいました。謙信公とは、どういう方だったんだろう二人にとって。2010/10/16
葉芹
10
上杉家ファンの私。今回長女と念願のお伊勢参りに三重へ。帰りのファミマで同書を発見。旅には本でしょ、と。読みやすくいい感じでした。歴史はそれぞれの作家の視点が見えて面白い。景勝いいな。2014/04/03