内容説明
探そうとしても、見つからない。いつかどこかに現れる、〈ふしぎな名画座〉。そこでは、ただ一人のためだけに、懐かしい映画が上映される……。「〈逢いびき〉のあとで」「〈天使の詩〉が聞こえる」「〈ローマの休日〉届」など、名画をモチーフにした、ファンタジックな連作短編集。人生に迷った時や、勇気をわけてほしい時――あなただけの指定席へようこそ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゼニガメ
5
突如現われる名画座。そこを訪れる人々の人生と懐かしい映画とが交差する短編集。名前すら知らない映画ばかりでちょっと残念。せめて解説がついてるとありがたかったんだけど。「私はいつも『久実子のお姉ちゃん』でしかなかった。でも、たまには…『お父さんの子』でいたかった」([天使の詩]が聞こえる)は耳が痛い。私も知らず知らずのうちに上の子を我慢させてるかも。『[非情の町]に雨が降る』は大変後味の悪い話だった。救いのない点で、ある意味一番現実味があるけど。2017/05/16
FK
3
古今の名画をネタに短編小説。どんな風に料理、換骨奪胎されているのか、という楽しみ。もっともそのためにはまずそれら映画を観ておかなければならないのだが。宇野亜喜良のイラストがいい。ちなみに、私が観ていた映画は[ローマの休日]のみ。これから観よう、と。 小説家ってこんなこともできるのだな、と感心。それにしても、貪欲にいろんなものを観たり聴いたりしている。それだけの価値があるものが、この世の中にはいっぱいあるということだろう。 時間の許す限り、なるたけ観て・読んでいきたいものだ。2014/06/04
カズザク
2
人生に悩んでいる、疲れている時に、ふと現れる映画館「名画座」。自分の心の中を覗かれたような、心の鏡のような映画をひっそりと上映。映画好きではあるが、古すぎて?紹介されている映画を殆ど知らなかった。天使の詩…普通と思っていた事、家族が居てくれる事の大切さを再認識。お姉ちゃん、無理して頑張ってたんだろうな。非常の町…己の権力と金で何でも出来ると思っている男。息子を助けるつもりが…憐れである。間違えられた男…嫌な刑事か登場も、最後の2人の素敵なお父さんに心がホッコリ。ローマの休日…夢のようなフワフワした物語。2023/07/11
牧瀬ちゃみ
2
[★★☆☆☆][2013年98冊目]:有名な映画をモチーフにした短編集。映画自体は作品名は知っていても見たことが無いものばかりでしたが、ソコソコ楽しめました。でもドラキュラの話はひどいと思うw2013/07/02
がじゅ
2
映画にまつわる短編集。『「ローマの休日」届』とは、なかなかシャレのきいたタイトルだ。2012/04/03