内容説明
柳田桐子は、強盗殺人事件の犯人にされた兄の弁護を依頼に、著名な大塚弁護士を訪ねて九州から上京する。が、依頼をことわられる。偶然、桐子を知るジャーナリスト阿部はこの事件に興味をもつが、桐子の兄は獄死する。上京し、酒場の女になった彼女の心は、大塚への復讐に燃える。巨匠が見事に描きあげた復讐譚。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ビグ
13
松本清張さん初読み。昭和38年に刊行された文庫本。 文体が昭和過ぎてなんだか読みにくかった。 松本清張が得意とするであろう復讐劇なのだが、えっ?と驚くというより、強引なこじつけでややシラケてしまった所もあり、自分の中では期待ハズレ。けど、有名どころもたくさん書いてる有名作家さんなので懲りずに他も読んでいきたい。2018/11/07
浅香山三郎
11
余りに怖い復讐劇。登場人物の殆ど誰もがハッピーエンドを迎へない結末で、主人公の復讐の手の込みやうに「ここまでやるか!」と思つてしまふ。推理小説の、謎解きの爽快感がある作品ではなく、人間の業や悪をテーマに描くスリラー作品群のひとつで、『わるいやつら』や『けものみち』のやうな作品の仲間であるともいへさうだ。兄の弁護を断はられた主人公の過剰な逆恨みといふ展開の怖さはあるが、本来弱者の味方であるべき弁護士界の歪みや矛盾を焦点化してゐる。その意味で清張作品を貫く基本線はブレてゐない。2022/06/05
よっちゃん
2
社会を鋭く切り裂く作品。最後まで強烈な復讐。解説では筋違いと書いてあるがそうとばかりは言えないと思う。2016/11/03
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