内容説明
ジュンコ先生は、大切なマリカを見つめて機中にいた。マリカの願いはバリ島に行くこと……。多重人格の深い悲しみと歓喜の光景を描いた本作は、「マリカの永い夜」として発表されたが、著者の決心により改題し大幅に書き改められた。さらなる祈りと魂の輝きにみちた小説に一九九三年四月、初めて訪れたバリで発見した神秘をつづる傑作紀行を併録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
209
小説の前半はあらゆる点でバリのムードに溢れていて、まさしくここを舞台にしてしか書けなかったような物語。原マスミの絵もいい感じだ。後半の奇妙な一行が繰り広げるバリ紀行も楽しい。ただ、せっかくバリに行きながら、毎夜のように別のアコモデーションに移るのは気が知れない。ばななさんって貧乏性なんだろうか。2012/05/17
クプクプ
72
この本は、平成9年出版です。「マリカのソファー」がバリ島をテーマにした小説で、「バリ夢日記」が吉本ばななさんが実際にバリ島を旅行した紀行文でした。「バリ夢日記」は、吉本ばななさんが、バリ島の海岸のリゾートを満喫したり、少し肌に危険なマッサージを受けたりしていました。また、普通、旅行は作家仲間と行くものですが、吉本ばななさんは、カメラマンなど作家でない方と行くところが、彼女らしいと思いました。ナシゴレンやミーゴレンといった料理が出てきて、私も昔、マレーシアを旅行したことを思い出した懐かしい読書になりました。2023/11/25
えみ
46
ひとりとの大切な出会いには、いくつもの別れと、いくつもの人生の受け入れが必要だった。ひとりの人生のために、その他の人格を否定する。なんて簡単に割り切ることはできない。昨日まで隣で話していたあなた、笑っていた君、怒っていた彼女…。頭ではわかっていても、心が拒絶する。まるで置いてきぼりにされたような、そんな淋しさだけが残されるから。多重人格のマリカと彼女に寄り添うジュンコ先生は2人、バリ島へ。その地でマリカは何を感じて、ジュンコ先生は何を受け止めたのか。自由と解放の神秘のバリ島は2人にどんな明日をくれたのか。2026/03/22
しろいるか
46
自宅本を10年ぶりに再読。幼い頃の苛烈な経験から多重人格となった少女・マリカとジュンコ先生が、癒しを求めてバリへ行く『マリカのソファー』、著者自身のバリ島旅行記『バリ夢日記』の2編。ビリーミリガンとは違い、マリカの交代人格が皆マリカを守る人格であったのが救いだった。自己の精神を守るために、辛い時に交代人格が生まれてしまう。そこまでの苛酷さに胸が痛んだ。原マスミさんの挿画が、バリのエキゾチックな雰囲気を演出しててとても良い。2010/11/18
kana
43
《人生は全て夢だ。今、このベッドと夕闇に包まれた部屋だけが世界だ。(略)生活、夫、あの部屋、そしてマリカの大切なソファー、 (略)どれも夢であることにおいては等しい》そんなふうに思える場所がこの世界に本当に存在する。バリの魔法。幼少期の虐待経験から多重人格に苦しむマリカと彼女の唯一の友達ジュンコ先生の癒しの旅行記録。からのばなな氏の取材旅行日記が収録される。 この体験がこうして作品に昇華されるのが小説家の素晴らしいところです。バリの空気とマリカの変化が繊細に描かれ、ほわんと掬われるような読み心地でした。2018/03/25




