内容説明
啓明高校はじまって以来の才媛と噂に高い『倉橋さんちの数子さん』――それがこのあたしってわけ。それなのに同居中の譲叔父さんに失恋してしまい、大ショック。がっくりきたあたしは、外国へ教えに行く花取教授宅の留守番をかってでた。ところがその家に押しかけてきたのが、同じ学校の漫画家志望の家弓って問題児に北大志望の浪人生・勉。かくして女二人男一人の雑居生活がはじまった!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タカギ
22
主人公の倉橋数子は学校創立以来の才媛と名高い美人で、運動はできるし、家事も万能と非の打ち所がない。それは全て血の滲むような努力の結果で、血縁関係のない叔父・譲と結婚するためだったのだが、譲が他の女性を娶って同居することを知り、親戚の学者の留守居役を買って出る。そこへ同じ学校の家弓(漫画家志望)と浪人生の勉が転がりこんできて、女2人男1人の雑居生活がはじまる。みんなテンションが高くて楽しい。数子の豹変ぶりがすごい。そんなに譲が好きだったなら打ち明ければ良かったと思うけど、それじゃあコメディにならないものね。2020/07/29
糸巻
20
初出は82年のコバルト文庫。今では手に入りにくいので愛蔵版があって嬉しい。昭和の女子高生を主人公にした物語だが、当時の言葉や言い回しが一周回って新鮮に感じるし、それぞれのキャラクターが生き生きとして話も面白かった。5歳にして血の繋がらない叔父に一目惚れし、彼に相応しい女性になるため何から何まで努力を惜しまなかった【倉橋さんちの数子さん】両親の前ですら実態を見せなかった主人公が、成り行きで同居することになった家弓と勉の前では素直で年相応で微笑ましい。雑居生活を通じて叔父にきちんと失恋できる日が来るか。IIへ2025/06/26
こっぺ
17
才色兼備な「倉橋さんちの数子さん」であるはずなのに、この報われなさが哀れである。。。捻くれまくって天の邪鬼な真の性格は持ち合わせているものの、譲おじさんへの恋心や、表の顔を維持する努力は本物なのに。数子さんの何がいけないんだろう。もっと美味しい想いをしてもいいのではないだろうか。面白い友人に恵まれたからいいとしますか。大好きな作品。【図】2010/09/20
しゅわ
5
【図書館】勝手に氷室さん再読祭り!の番外編。ご近所の図書館に愛蔵版があるのを知り、手にとってみました。読み始めて、最初の数ページで驚愕!!そう 譲叔父さんが「じーさんが親友の忘れ形見を引き取った」だけの血のつながりのない人になっている!? コバルト版を何度も何度も読んでいた私ですが「どんなにがんばっても姪は叔父さんと結婚できない」ことが気になって仕方なかったので、この修正は本当に嬉しかったです♪ 才色兼備な数子ちゃんですが、裏では無駄?な努力を惜しまず、ともかくむくわれなくて…にくめないキャラです。2013/02/27
Gaooo
4
容姿端麗、頭脳明晰、「倉橋さんちの数子さん」。初めて読んだ時、こんな裏表のある女の子が主人公だなんて!と驚いたものだ。しかしこの数子さんがおもしろい!叔父さん(血縁ではない)への恋心ゆえに、極端な行動に出ては涙にくれる…。久々に読み返して大満足!2021/02/08