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内容説明
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私はよい父であったろうか。
本書はその反省の上に立って、二人の幼児への遺訓という形で綴られているが、これはわが子誠一と茅乃だけに対する遺誡ではない。
「わがいとし子よ。〈なんじの近きものを己の如く愛すべし〉そなたたちに遺す私の言葉は、この句をもって始めたい。そしておそらく終わりもこの句をもって結ばれ、ついにはすべてこの句にふくまれることになるであろう」という言葉で本書は書き出されている。
身近な話題の中に、わが子とすべての人間に対する切々とした思いを取り上げ、親は子どもに対する、子どもは親に対する愛情をいやが上にもかき立てられる。
聖フランシスコ・ザベリオ渡日400年記念式典が浦上天主堂で行なわれた翌日、思いがけず教皇特使の見舞いを受けた際の悦びは、子どもたちにとっても無形の遺産となったにちがいない。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サン
19
永井隆先生から自身のお子さんへの言葉をまとめたもの。じっくり読みたくて、何度も読み返した。いとしい子へと始まる文はハッと考えされられるものばかり。狼と鳩が印象に残りました。2019/03/15
Ayakankoku
7
長崎の原爆資料館を訪問した際に購入した本。ずっと積読であったがやっと読了。娘と息子、いとしい子どもたちに向けての沢山の愛あふれる言葉をゆっくりと噛み締めながら読んだ。2021/04/29
しゅん
6
「いとし子よ」「わが子よ」という呼びかけが全編を通じて反復して挟み込まれており、結果として長編詩のようなニュアンスを持った一冊になっている。(ヘレン・ケラーや昭和天皇が訪問するくらいに)有名になった後の作品だから、この本は自らの子供を通して広く伝わるよう意図を持って書かれていると感じた。キリスト教を徹底して殉教者として扱っており、迫害者でもあった歴史を完全無視している記述がある。2020/08/25
みどり
0
はじめて参加したミサでの神父様の声、教会の空気を思い出してしんとした気持ちになる。バナナの葉に吹く風やお日さまとお月さまの喩え、自然を愛おしむ言葉にとてもやさしい気持ちになった。「愛されるものは滅ぼされないのだよ」何度も聞いてきたはずの戦争の話も大人になればなるほど人ごとと捉えてしまっていた自分に気がついて衝撃。愛をもって赦し合うことと、愛のない行いの記憶をお互い持ち続けることは、矛盾しているよう。でも前を向き続けるならば、それらを全て愛でもって包んでしまえると思った。2019/12/12