内容説明
勤王の志士の妹・お香代の面影を恋い求め、変転する時流にもてあそばれる織之助は、思わぬ成り行きから、ふたたび独楽勝負に身の行く末を賭けることになる。対するは愛憎半ばする宿敵、伏見流名人・潤吉。剣風吹きすさぶ京、時代の激流は二人の若者と彼らが愛する美女の運命を容赦なく押し流していく。奇略縦横、日本大衆文学史に巨大な足跡を印した著者の『富士に立つ影』と並び称される異色長編。
感想・レビュー
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Auristela
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町人を主人公に目新しい大衆小説を画策したんだろうけども、富士に立つ影と同時代に出されたとは思われない程に貧相な内容、、後書きの白井喬二の述懐ぐらいか。「ああ独楽よ独楽よ。人は人生をかけて我が運命に挑み、独楽は一本の生命を誇っている。古式の中のはてなき合戦であった。耳にあくことを知らぬ馬蹄のひびきと聞くは独楽の獅子吼であろう。人器一体の世界がそこにあった。この心身の突撃こそ「神秘の学問」だった。それがあるために人は生き甲斐を摑んだ。滔々たるかな神秘、営々たるかな学問。」2014/03/23
冬至楼均
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半ばにいたってようやく新撰組が登場。戦前の作品だけにやはり敵役ですが。2013/05/19
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
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☆×4.5…一人の女性をめぐっての二人の独楽師の戦いもついに終わりを告げます。なんだか本当にはかないものだったなぁ…そしてこの間でようやくこの本のタイトルの意味合いがわかってくるはずです。そう、かの有名人物がこの本で出てくるから。途中にはかっこよかったある男の死も出てきます。彼だけは幸せに生きてほしかったのに!!結末には賛否あるでしょうがどちらも幸せに生きたということにします!!2012/06/11
halfpint
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上巻はしっかり構成されていたというか語りに抑制が効いていて、そこが面白くもあり、いかにも連続ものという(パターンに飽いてくる)感もあり、でしたが、下巻はよれてますねー、勢いで走ってしまう場面が目立つ、んだけど、それもまた面白くもあり……まーでも長いかな? あと意外にエロい描写が多い。まーこれぐらいは健全のうちかな?2020/04/22