- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
一九九〇年、ミシガン大学の米国大学教授連合支部の機関誌に、赤狩りの犠牲者三名の名誉回復の記事が出た。これがきっかけで著者は、米国が今も後ろめたく感じているマッカーシーイズムの時代に、米国の教官、大学、そして団体が学問の自由にいかに対応したかを探り、米ソのデタントが成立し、共産主義に非寛容でなくなった時点まで跡づけている。同時に、民主主義の国=米国がもつ衆愚政治への危険性にも、目を向けさせてくれる。
目次
プロローグ マッカーシーイズムとの出会い
第1章 州政府による「赤狩り」
第2章 下院非米活動委員会による「赤狩り」
第3章 「学問の自由」の擁護者―米国大学教授連合
第4章 反共産主義立法と下院非米活動委員会
第5章 赤狩りの代名詞「マッカーシーイズム」
エピローグ マッカーシー失脚のあと
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
jj
2
東西冷戦時代、過剰なマッカーシズムを背景に米国大学教育者、職員に対する過激な赤狩りの具体的事例はとても参考になりました。宣誓、証言拒否にて直ちに議会侮辱罪に問われ、学内査問にて辞・解職、共産主義者レッテルで社会的抹殺 へ。言論・思想弾圧の側面はありますが、共産主義の徹底排斥によるコミンテルンから米国の自由主義を守った側面もありますね。マッカーシー上院議員の厳しい追及から無罪となったラティモア教授は、コミンテルンと強固な関係があり、戦争責任追及の為、天皇家全員を中国の強制収容所収監を強く要請したそうですね。2016/04/29
もりたく
0
反共産主義が国内世論な大勢を占める中、理事会や学長だけでなく、他ならぬ同僚教員が沈黙あるいは消極的同意の立場をとったことが「学問の自由」を実践することの難しさを物語る。 例えばSNSで差別的又は非科学的な炎上発言を繰り返してる同僚教員が辞めさせられそうになった時、「学問の自由」を理由に社会的反発覚悟で庇うことかできるだろうか。 2019/01/01