内容説明
古書店を舞台に、不思議な人生模様を描く。蔵書を金額で値踏みし、故人の人生の裏まで見すかす古書店主の回りには、棟方志功の肉筆やら暇つぶしの猫、ホモと奇妙な人ばかり。直木賞作家の書き下ろし小説集。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
131
出久根さんの最初の小説集のようです。7つの短篇が収められていてどれも古本に関するものが中心となっています。今までさまざまな出久根さんの本を読んでいますが、本当に猫がすきなのですね。確かに古本屋さんと猫というのは相性がいいのでしょう。また古本というのはさまざまな人生を反映してきているというのがこの本を読んでわかるような気がしています。2016/02/12
ざるこ
50
昭和の時代の古書店。著者はリアル古書店主らしい。同業者とのやりとり、レア本に対する店主と客の感情など裏事情が知れて楽しい。古本屋を営む者が亡き後、残された本を見れば一流の古本屋だったかどうかが分かるという理由には唸らされます。新刊書を大量に買い集めた客に「溜めるのが楽しくて買いまくったとしか思えない」という店主。私は自分の積読本を見て「いいや、私はちゃんと読むぞ」と心に誓う。客を呼び寄せる猫がいたり、お客に騙され振り回され一歩踏み込んだつきあいがおかしな方へ向かったりする。本をめぐる人間模様が楽しい1冊。2019/12/30
やぎ
9
森崎書店の日々(八木沢里志)、月魚(三浦しをん)、東京バンドワゴン(小路幸也)など古書店が舞台の小説が好きだ。古書店は憧れの職業だからかもしれない。本書は昭和の古書店のお客さんや同業者との出来事を描いた短編集。著者は実際に古書店の主人でもあるのでとてもリアルで、エッセイなのか小説なのか分からなくなる。読書好きの社長が多忙で読書の時間がなくなり、かわりに本を読んでくれる人を雇った「四人め」がおもしろかったです。2020/01/13
moonanddai
3
実を言いますと、古本屋さんは私の憧れです。確かに、全くの初めての家に、商売とは言え上がり込むことによって、(解説で逢坂剛の言いようによれば)「冒険」が始まる…。どちらかといえば(ビブリア古書堂)より人間模様が中心の話ですが、「本の話」も聞きたかった…。他の著書にはそんな話があるのかもしれない。2015/04/11
ふみえ
3
色っぽい話が多かった印象ですが、楽しめました。‘佃島~‘より前に書かれた作品なんですね。解説を読んで知りました。次は、ミステリー的な作品をブックオフで見つけたので、しばらくしたら読もうと思います。本にまつわるお話は飽きないな。2013/03/07




