内容説明
自然との和合の中で豊か暮らしを続けてきたアイヌたちが、和人とともにやってきた近代化の大波の中で翻弄されながらも、毅然として生き抜いていくさまを、親子三代の生活を通して描いた大河ロマン。伊藤整文学賞受賞作。本巻では大正、昭和から現代にいたる激動の中、多くの差別にさらされながらも、自己を取り返したアイヌが、やがて復権への道を歩みはじめる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
エル
5
話の主役はオコシップの息子周吉、孫孝ニ、そしてひ孫陽一へ。代が変わっても虐げられ続けるアイヌたちの苦難。和人からの嫌がらせももはや犯罪レベル。その中をじっと耐えて時には爆発して貧困に喘ぎながらも生き抜いて。和人とアイヌのモノの考え方の温度差がすごくて、これでは差別は無くならないのも分かる。まさか骨まで冒涜されていたとは。ラストはほんのり希望が見える終わり方だったが、今もこの世界で確実にアイヌの問題はあるだろう。アイヌがアイヌらしく生きるためにはどうしたらいらいんだろう?2022/03/07
kausmedia
0
幕末から昭和に至る4代に渡るアイヌの歴史。 オコシップの魂が今も十勝には継がれていてほしい。2011/08/28
ビーグルの匂い
0
貧富の差が生じる過程が理解できる。明治になり、北海道においてアイヌ民族(狩猟・採集文化)が農耕文化に押し潰されていく。これは近代になって北海道で短期間に起こった事実だが、他地域でも古代に同じことが起こったのだろう。農耕文化では”富の蓄積(収穫物の貯蓄)”が生じ、さらなる蓄積のため土地所有が進む。農耕は自然を制御する技術なので傲慢な自信を抱かせる。全てを神に委ねる狩猟・採集文化と異なるところだ。現代社会も実体は農耕社会の上に成立している。色々と考えさせられる小説だった。2021/05/04
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