内容説明
父祖の地小田原下曽我で、病を克服し、自然と交流する日々。野間文芸賞受賞の名作「まぼろしの記」をはじめとする、尾崎一雄最晩年の代表的中短篇、「春の色」「退職の願い」「朝の焚火」「虫も樹も」「花ぐもり」「梅雨あけ」、さらに、「楠ノ木の箱」計8篇を収録。危うい“生”と理不尽な“死”を、透徹した静寂さの上に浮彫りにした深い感動を呼ぶ名篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
スエ
3
こういう短編がずっと読みたかった。感動の押し売りでもなく、ことさらに悲劇を強調するでもなく、ただありのままの風物を、家族との会話を綴っていく。静かに静かに、けれど世界ははてしなく広がって行く。この人の短編、もっと読みたい。2016/08/29
Hiro
2
あんまり期待せずに読み出して、独特の文章の味わいに速攻ハマってしまい、一気に読了した。60過ぎだからちょうど私と同じくらいの歳になった著者がこれまでの人生を回想しながら、田舎暮らしのあれこれを語る、特に身近な家族友人の死の経緯を語り、その理不尽さ無残さ、あるいはその運命を周囲の植物や虫たちに重ねていく。著者の文章は悲しみを書いても決して濁らず湿らず、ドライなのに優しく、突き放したようで親しみ深い。同じくらいの長さを生きてきたのに私の何十倍も世界を知りよくわきまえていると感嘆する。忘れてはならない作家だ。2021/12/19
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