内容説明
秩父の山荘に七人の芸術大学生が滞在した日から、次々発生する恐怖の殺人劇! 最初の被害者は地元民で、死体の傍にトランプの“スペードのA”が意味ありげに置かれる。第二の犠牲者は学生の一人だった。当然の如くスペードの2が……。奇怪な連続殺人を、名探偵星影竜三はどう解く? 巨匠の本格傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
geshi
34
ど真ん中ストレートの本格推理小説。警察のあまりの無能っぷりと時代的なものはさすがに今読むとキツいが、リアルさは割り切って考えれば研ぎ澄まされた純粋な推理パズルを楽しめる。大掛かりな謎は無く、むしろミステリーとしてはよくあるようなアイデアなのだが、詰め込めるだけ詰め込んだそれらを繋げ合わせ、ひとつのトリックとして見せる手際が上手い。小道具の使い方にも気を配られ、至る所に丁寧に張られた伏線を拾えば充分推理可能な範囲にまとめ上げられた、まさに教科書的作品。2015/07/11
おぬち
27
山荘に7人の芸大生が滞在しにくる。そして盗まれる13枚のスペード。そして死体と共に見つかるスペードのA。70年前に出版されてるから漂う昔感と、にしても読みやすい内容。犯人はすんごく分かり易い買ったけどストーリーは面白かった!鮎川先生初読みでしたが、名作と言われるだけあっておすすめの作品。2020/04/06
豚山田
19
58年刊とのこと。言葉の端や若干の女性蔑視的な考え方に時代を感じさせますが、連続殺人の緊張感、論理的な解は今読んでも充分に新鮮で楽しい。本格としては満足のいく一冊でした。しかし同時に、推理物について回る探偵の役割について考えさせられるものが。優秀な探偵ほど瞬時に解を導くとすれば、物語の途中では確かに不要。実際本作の探偵登場も八割が経過してからでした。ですがぽっと出のキャラクターに愛着が湧かないのもまた事実。ラストだけ出てきて正答を述べて帰る姿には、只々ぽかんとするばかりでした。やはり探偵はヘボでいいかな?2014/06/28
☆エンジェルよじ☆
19
『赤い密室』で原型の『呪縛再現』を読んでいたので最初は「そうそうここ伏線なんだよね」とか余裕で読んでいたけど「えっあなたも、あなたも」というくらいの勢いで事件がおき違う作品として楽しめた。犯人頭いいし演技派だな~星影さんの気障さにも慣れてきた。2011/06/29
ホームズ
16
講談社文庫版をブックオフで見つけたので再読。やはり良いですね(笑)伏線がいいですね(笑)星影竜三が解き明かしていく過程がドキドキでした(笑)何回も読んだけど論理的に解き明かされるのはいいです(笑)特に「ブルーサンセット」のところは好きです(笑)2009/08/04