内容説明
星霜移り明治16年。ガス燈けぶる銀座の片隅で、出獄人保護所の善行に身を投じるか弱き乙女ふたり。荒くれどもからこの秀麗な姉妹を守るため、十字架にも見て取れる十手一本首にさげ、戦う快男子・原胤昭。だが、運命の時は来た。二度と渡るまいと心に誓った牢獄島に、胤昭が囚人として渡ることになろうとは……鬼畜の如き極悪人が、残された姉妹を目指す。嗚呼、願わくば清きふたりに神仏の加護賜らんことを! 虚実混沌、揺れ動く近代日本黎明期を舞台に展開する奇想天外の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はまちゃん
6
          
            山田風太郎氏の時代小説の下巻。上巻で出てきたキャラたちが動き回り、上巻がキャラ紹介の序曲に過ぎなかったのだなと思わされた。しかし罪人たちがここまで悔い改めるものなのかと驚かされながらも、その活躍には胸がすく思いだ。これもやはりお夕さんの清廉で気高い心持ち故なのであろう。2024/11/30
          
        辺野錠
3
          
            面白かった! ヒロインがあんなことになっちゃう衝撃の展開。そして始まる素人の悪党VS武術のプロフェッショナルというシチュエーションが風来忍法帖を思い出させて明治物と忍法帖のハイブリッドという印象。裏切りとは悟られないように、そして主人公にはばれないように戦うというシチュエーションもいい。特技を生かして立ち向かうそれぞれの散り様がまた泣けるんだわ。特にアラダルの最後が泣ける。2013/01/31
          
        mich
2
          
            後半の展開は忍法帖っぽいが、忍法帖よりもよっぽど血生臭い。戦国時代より明治時代の方が現代に近く、地続きに感じられるというのと、赤報隊しかり福島事件しかり、史実の明治が実際に血生臭い事件だらけだからか。陰惨な因縁が渦巻く展開の中で、囚人たちの人間臭さがより際立つ。十手と十字架をかけた十手架というタイトルおよび作中アイテムが、本作の神髄を表している。2025/10/02
          
        たわしテレビ
0
          
            面白かった。「善人」でいるのも命がけだなあーと思いながら前半部分を読んでいましたが。後半でやっぱり「善人」は最強なのだと痛感しました。だってお姉さんのあの力、すごいよね。バックについているのが神ですもん。 悪人の弱点は本当の味方は一人もいないっていう事。 だれも自分のために手を差し伸べようとしてくれない存在は悲しいよね。命がけでどんな人の心に寄り添うなんていう事は自分には無理だけれど、疑り深い自分の性格をもう少し人を信じる人間に修正してもいいかなと思いました。 それにしても主人公は濃い人生をおくりました。2013/11/24
          
        けん
0
          
            明治の時代、囚人を助ける元看守の数奇な人生。個性的な囚人たちとのつながり、本当の悪の看守たちの陰謀との戦いおもしろかった。キャラがよかったですね。2013/01/28
          
        


 
               
               
              


