内容説明
「いやだ、わからない?そんなに私、変わった?」中学時代の無二の親友・良美と二十五年ぶりに再会した小夜子は、やっとの思いで笑顔を作った。目の前にいるのは、美少女の面影を微塵も残さぬ不気味な中年女だったのだ。しつこく付きまとう良美に言いようのない不安と恐怖を抱く小夜子。そんな折、良美は二十代で死んだという情報が…!心理サスペンスの名手が織り成す日常の恐怖。傑作短編集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
88
『恋』で直木賞作家になる4年前、1991年に書かれた6つの短篇集。この頃はミステリー小説に力を入れて書かれていたようです。タイトルにしたのは自信作なのだろうか、【会いたかった人】が面白かった。主人公は、いま仕事・家庭すべてにおいて順風満帆のキャリアウーマン小夜子。25年ぶりに、中学時代の勉強で1・2を争ったライバルの親友と再会する。「子供は作らない!」が二人の約束だった。女同士のつばぜり合いは、とにかく凄まじい。結末は予想通りだったが、さすが小池さんのミステリーだけあって、愉しませていただきました。2022/07/05
相田うえお
84
★★★☆☆22057【会いたかった人 (小池 真理子さん)k】6本の短編集。そのどれもがちょっぴりゾッとする話です。①同級生、長いこと会ってなければ別人の様になってる可能性だってある②立食式の結婚披露宴だったら知らない人が入ってきても分からないかも③母親と娘って、仲が良いか悪いか両極端なことが多い様な...④真夜中、隣人が庭に大きな穴をこっそり掘っていたら、そりゃ気になるよ⑤途中からいい話になるのかと思いきや、やはりブラックだったか⑥ひゃ〜!勘違いして愛人を殺害しちやったー!◯結構、ハマる作品集でした。2022/06/27
miyumiyu
81
単行本を読んだが、文庫本にしかない短編がたくさんあるので購入。どれも期待を裏切らないゾッとする結末。「会いたかった人」「甘いキスの果て」の救いようのなさ、「寄生虫」「木陰の墓」のブラックなオチ、「結婚式の客」「運の問題」のやり切れなさ、どれも好みだ。小池さんの短編は、端正でクールで切れ味が良いのがクセになる。2016/08/12
アッシュ姉
75
やっちまった~。再読でした。でも大丈夫。そこそこ忘れているので楽しめました。ほっほっほ。日常に潜む恐怖を浮き彫りにしたサイコサスペンス。ドラマで観たことあると錯覚するほど映像か浮かび臨場感たっぷり。巧みな心理描写に狂気の世界へぐいぐいと引きずり込まれます。収録作品すべてハイクオリティなのが凄い。意外なオチが待っている「結婚式の客」、母親の心の動きが見事な「寄生虫」がお気に入り。2016/04/20
miww
69
6つの短編集。どれも期待どおりのオチで面白かった。ラストに「げっ、」となりながらサクっと読める。「会いたかった人」再会した親友がいきなりストーカー、気持ち悪すぎた。老婆に怯え追い詰められる「結婚式の客」。「木陰の墓」、「運の問題」救われなさが際立った。小池さんのサイコ、短編なのに濃いわ。2016/08/17