内容説明
「およそ世の中に、善意の善人ほど始末に困るものはないのである。」こちらは迷惑をこうむっているのに、それに気づかないばかりか、一切の責任から逃れていると錯覚してる善人。むしろ悪人のほうが付き合いやすい。このパラドクスを語る文章の小気味よさ。数々の名訳で知られ、社会に警鐘を鳴らす評論家として信頼された自由主義者のエッセイ集。半世紀を経てなお瑞々しさを失わない人生論と日本の国際社会復帰期の社会批評の数々。自在闊達な思考の気持ちよさを満喫できる一冊。
目次
1 悪人礼賛(私の信条 至上の願い 丸もうけの余生 チャタレー判決笑話 死について 私の遺書 死について ほか)
2 自由主義者の哄笑(歴史に学ぶ 若い人々のために 文学者の政治的発言 自由主義者の哄笑 平和論の憂鬱 自衛隊に関する試行的提案 マーク・トウェインの戦争批判 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
魚京童!
15
いいこと書いてる。問題は一般受けしないことだな。一般受けしないとゴミだからな。これが資本主義だ。資本主義万歳!民主主義は衆愚政治に陥るっていうけど、まだ私には答えが出ていない。だからまーこうして一般受けしていない本が好きなんだろう。この人面白い。エッセイだから適当に読んでそれで終わりなのがつらい。最近時間がない。時間は作るものであるから、余裕がない。あるいはやる気がない。ただそれだけの話さ。2017/11/02
すずき
1
モームが好きときたら読んでもいいかと思い。第一部の方が興味深く読めるのは他の感想にもある通りだが、時論の第二部もなかなか興味深い。戦後の知識人の言論の一端が伺える。与えられた自由というものに対する葛藤や、反動という言葉の意味についてなど考えるきっかけとなった。2022/10/10
わがまま娘
1
悪人なのを開き直んな!と思うが、行動原理わかんない人が怖いのはすごいわかる2021/08/16
unterwelt
1
第1部、第2部と別れており、自身の人生観、死生観を書いた第1部「悪人礼賛」は面白かったが、社会論や時事論の第2部「自由主義者の哄笑」は時代背景がつかめないこともあり最後の方はかなり飛ばして読んでしまった。ただ第1部の表題のエッセイは正義や善意の名のもとの行動(暴動?)が良しとされている今の時代にも通じるものがあるし、「大学教授始末記」も面白い。あと危機の時代になると進歩や資本主義否定に走るのは、どの時代の知識人も共通なのかと思ったり(今の時代に知識人がいるかはともかく)。2020/09/20
リンゴ
1
思ったよりなぜか話の流れがつまんなくて後半は飽きてしまいました。。。2020/01/13