内容説明
気が弱く、口べたで、ぱっとしない中年の男。ひとりバーで飲んでいた、この男に声をかけてきたのは、アワン開発サービスというよろず相談所の青年だった。この青年が男に提案した、かくされた能力を引き出すための計画。それはよくある、ありふれた手法のものだったが……。ユニークな発想が縦横無尽にかけめぐる、さわやかにして強烈なパンチのショートショート30編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かみぶくろ
97
後期星新一。初期中期と比較して、オチのキレはかなり落ちている。一方で、もはや哲学といっていいような、人間や社会の有り様を寓話的かつ抽象的に表現した作品が目立つ。読者にも、自分から深読みしにいく能動的な態度が求められる。これはこれで好き。2019/03/09
kinkin
94
星新一氏、30のショートショート集。ショートショートというのはアイデア以外にも展開を読み手にわかりやすく伝えてゆくものだと思う。どれもそういう意味ではやっぱり第一人者、飽きさせない。あとがきに書かれていたことが気になったので備忘録。アイデアを、どうやって得るか・・・「情報の断片を多く持ち、異質なものを組み合わせと。そして、小話を覚えて、他人に話せ、おもしろい短編を読んだら要約して覚えろ、そうすると、ストーリーを作るコツが身につく。これが第一だ。」ショーショートは、その辺りを意識して読むことにしようと思う。2019/01/15
KAZOO
64
ショートショートが30編入っています。星新一さんらしいものが多く、結末はまともで周りの状況が変わっているなど皮肉な状況になるものもあります。短い時間を本当に楽しませてくれます。2015/01/04
Tetchy
59
「数学の才能」のタイトルの処理の仕方を読んだ時に星新一が解らなくなった。なんというか、悟りの境地にでも入っているという感じだ。2008/09/14
北風
44
後期の作品集です。もう、このへんになってくると「おおっ!」っと唸る作品も少くなってきました。初期の作品を知ってるがゆえの寂しさのようなものがありますね。安心して読めるんですが…。2015/07/13