内容説明
ピクウィック氏の波乱に満ちた旅は終わり、今や落ち着いた日々が過ぎてゆく。体は少し弱っていても精神は若々しく人々の敬意を集めている……。すべてのいざこざは収まり、穏やかな雰囲気のうちにこのイギリスを代表するユーモア小説は幕を閉じる。当時のイギリスは産業革命後の混乱の真っ只中にあり、下巻にあるように債務者は監獄に送られた。駄洒落や地口満載のこのユーモア小説はブルジョア階級からも下層階級からも歓迎され、ディケンズは作家としての名声を手に入れた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
70
2016年96冊め。【120-3/G1000】若者の恋愛問題解決に奔走するピクウィック氏。ネタ的にはウッドハウス作品とも重なるけれど、社会風刺の色はこちらが強い。「ピクウィッククラブのメンバーはその後も大活躍しました」的な終わり方になるのかなと思っていたのだけれど、クラブは解散し、それぞれ幸せになった記載で終わる。田舎に引っ込んでもいいおじいちゃんとして慕われるピクウィック氏であった。2016/02/14
のっち♬
62
損害賠償の支払いを拒んだピクウィック氏は債務者監獄へ投獄される。「これはつくり話ではない」と、自身の体験に基づいた狭く不衛生な監獄の実態が写実的に描かれ、善良な紳士だった彼の性格は分別や良識を持った人間味のあるものへ変貌する。持ち前の明るさで寄り添うサムの姿が微笑ましい。鋭い批判精神と高潔な理想、そこから生まれた健全な笑いと感動は最後まで読者をあたたかく包み込む。「この世には暗い影はあるものの、それに比べたら光の方が強いのだ」本作は人間愛と笑いによる人間回復の願いを託し、無比の創造性を発揮した偉大な書だ。2018/02/13
syota
25
下巻冒頭は債務者監獄が舞台。金さえあればホテル並の生活も可能だが、金がないと飢えや病で悲惨な状況に陥る当時の監獄の実態が、詳細に描かれている。ユーモアの衣をまとった鋭い問題意識が行間に満ちていて、間違いなく全編の白眉と感じた。また出獄以降も、各エピソードを貫くプロットがしっかりしているため、これまでのような冗長感がない。お気楽道中記だった上巻とは隔世の感。下巻に関しては、ユーモアと社会批判、プロットの面白さがバランスよく盛り込まれた傑作と思う。[G1000]2016/07/27
秋良
9
【G1000】監獄でもピクウィックさんの良い人ぶりは大爆発。そこから社会問題の解決に…とはならず、最後はみんな結婚して大団円となる。これはコメディだからいいんでしょう。ディケンズ作品を何作か読んで、私は二都物語とかシリアス系統のほうが好みだった。2018/07/06
紫草
5
ピクウィックさんの人の良さは、高潔とか高尚とかいうんじゃなくて、ただただ純粋に心の優しいきれいな気持ちを持ってるというのなんですね。だから、みんなから尊敬されててもお高くとまった人じゃなくて、けっこうどじだったりもする。とても人間的。だから魅力的。サムの献身には感動です。サムは結婚して独立してめでたしめでたし、になるのかと思ったら、結婚したけどみんな一緒にピクウィックさんといるんだね。それが一番うれしかったな。長い間ピクウィックさんたちとすごしてたので、読み終わってちょっと淋しいです。2015/11/03
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