内容説明
町内の足の悪い子供を、掌でさわるだけで治した岬一郎。全国から病気に悩む患者たちがおしかけ、彼の超能力は一躍マスコミの話題になり、メキシコ大地震にも出かけて復旧に協力、世界的に有名になる。しかし、その超能力を恐れるあまり、日本の、そして世界の国家権力が介入しはじめた……。日本SF大賞受賞の力作大長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おがっぴ
4
こんごの展開の予想がつかない‼️ どうなるのか、楽しみにして読みます。2021/05/30
らくだ
4
下町の超能力者が来訪する患者を淡々と「治療」する中、周りは徐々にきな臭くなってきます。岬一郎がこれだけ達観しているのは超能力があるからかそれとも「「新人類?」だからだろうか。2010/11/20
hiroy
3
ちょっとは面白くなってきたが、今一つ乗りきれないのは悲しい結末しか予想できないからなのか。現実に本物の超能力者を放り込んだらどうなるか?というシミュレーションのような実験小説。まあ独裁者になるのが大半、殺されるのがその残り、ひっそり生き延びるのは僅かだろうね。印刷屋の奥方が天体の衝突を避けるための進化なんていう小難しい理論を述べ始めたのは萎えたが、違う奴の論理だったような。吹き込まれたか?2012/04/23
ぺぱごじら
3
平凡な男に宿った超能力。半村さんは彼の目を通して「周囲が変わっていくさま」を、淡々と少しグロテスクに描きます。
シロー
2
1に引き続きよく考えられてるなぁと感心させられます。岬一郎に怯える側の人間の言い分にも一理あるんですよね。圧倒的な力を私利私欲の為に使用されたらどうなるのかという。2の最後のエピソードは人情が益々薄れる現代だと、単に岬さんに拍手喝采で済みそうな気もしますが… 未曾有の能力を有しながら、その高潔な人柄ゆえに逆に追い込まれていく「現代のイエス」。もはや悲劇的結末は不可避であろうことを感じつつ3へ。2015/04/25