内容説明
〔競馬シリーズ〕ヨーロッパ最高の女性騎手が誘拐され巨額の身代金が要求された。無事救出されたのも束の間、今度はダービー優勝馬の馬主の息子が誘拐された。誘拐対策企業のスタッフであるアンドルーは、同一犯人の存在を感じるが……誘拐対策のプロと冷徹な誘拐犯の頭脳戦を描く力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
325
ディック・フランシスといえば競馬ミステリーで名高いが、本作もまた競馬の世界をめぐって仕立てられている。ただ、プロット全体を俯瞰するならば、ヒロインを騎手に設定してはいるものの、これとても必ずしもそうである必然性には乏しいようだ。フランシスは、今回も勝手知った自分のフィールドで勝負したかったのだろう。物語は緻密な構成をとりながら、実にスピーディな展開を見せる。イタリア、イギリス、アメリカへの展開も目先が変わって効果的だ。また、そもそも誘拐犯からの人質解放ビジネスのアイディアが秀逸。2023/01/30
NAO
57
競馬関係者ばかりを狙った誘拐犯と誘拐対策企業のスタッフの駆け引きを描いたミステリ。イタリアに始まった誘拐は、イギリス、そしてアメリカと世界のあちこちで起きるようになるが、その原因は意外なところにあった。息詰まる誘拐犯との交渉、解放後の被害者の心的ストレスなど、リアルで生々しい。その一方で、解放された女性騎手と主人公の淡い恋が描かれ、緩急のリズムがつけられていてぐいぐい引き込まれていく。ラストには主人公ならではの驚異的な脱出劇があるが、それ以外は、かなり現実的な話だった。2022/12/31
背番号10@せばてん。
34
1995年3月25日読了。競馬シリーズ第22弾。ディック・フランシス、2010年永眠。自分に多大なる影響を与えてくれた、巨星に心より合掌。(2019年7月28日入力)1995/03/25
本の蟲
19
慎重を要する身代金の受け渡しで一部の警官が暴発する。そんな緊迫する場面から始まった有名翻訳ミステリ〈競馬シリーズ〉22作目。今回の主人公は誘拐対策保険・コンサルタント・交渉人。被害者家族や警察への助言、やりとりは往年の名作漫画「マスターキートン」の一エピソードを思い出す。身代金の額を抑え、無事救出され、あるいは実行犯が捕まったとしても、誘拐された被害者に植え付けられたトラウマと無力感。家族への(本来必要のない)罪悪感は読んでいてつらい。だからこそ、ヒロインが主人公の支えで人生を取り戻す様子は胸が熱くなった2025/12/12
ごへいもち
18
フランシスの作品の中でマイベストかも。どの作品もヒーローはステキなので評価は私の場合ヒロインの魅力で決まるようだ。というわけでアーレッシアが気にいったので




