内容説明
最晩年の著者が、心血を注いで築きあげた壮大な中国絵巻! 一騎当千の豪雄がそろい、民衆の輿望をになって起つ梁山泊軍は、野火のごとく勢いを増す。権勢の人、高キュウは、一万四千の大軍で泊軍を討たんとする。その秘密兵団こそ、連環馬軍であった。さしもの泊軍も色を失い、梁山泊始まって以来の大損害をこうむる。しかし梁山泊の知恵者は王手を逆にとり、難局を乗り切った。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
71
妖術合戦、三国志関羽の子孫まで出てくる。宋江の「諸君は相手を殺すのが勝ちだと思っているが、私は、人を生かすことをもって勝利としている。われわれの仲間は、世の忠義をむねとし、人に仁と義をもって接するのが、本来の約束ではなかったか」という高尚な考えが、木乃伊取りを木乃伊にしていく。そして、いよいよ108人が梁山泊に集まる。吉川先生の死によって話は途中で終わるのだが、最後が暴れん坊李逵によるちょっとした笑い話で、みんな笑顔になる。それが爽やかな読後感を産み出します。2019/04/19
k5
67
原作でちょっと読みにくかったエピソードも、上手に噛み砕いてくれてあるなあ、と思っていたのですが、途中からもにすごい急な展開に。最後ぎりぎり百八星が揃うところまで書いて終わっているので、ひょっとしたら自分の死期を覚ってこういう書き方なのかな、と思うと感慨深いです。未完ですが、円熟の小説技術を味わえる超名作だと思います。2021/03/29
優希
57
一騎当千の豪傑たちが民衆の希望を背負いたった梁山泊は炎の如く勢いを増していきます。そんな梁山泊を討とうとするのが連環馬。どちらの色彩が強くなるのか、のめり込んでしまいます。絶筆の作品なので、完成されたらどのような吉川水滸伝が生まれたかが気になります。2021/12/17
金吾
35
○古い本ですが一気に読んでしまう面白さがあります。腐敗した政府に対する民衆の怒りを感じました。未完なのが残念です。2023/03/08
akira
31
新水滸伝第4弾。 なかなかに面白い。まさか宋江と盧俊義にそんなエピソードがあったとは。かなり李逵に割かれる内容が多いが、吉川先生のお気に入りだったんだろうか。 あらためて認識する百八星という言葉。それぞれに傑出した能力を持つものが数奇なる運命にて集う。人材群とというものを感じる一説。 「いまふと、かぞえてみるに、いつかここに相寄ってきた数奇なる運命の漢どもは、まさに百八人に達している」2017/06/21