内容説明
信玄は勇猛な戦国武将であっただけではない。中国の諸子百家、禅宗をはじめとする仏道の諸学派から漢詩、和歌、書、絵画まで学んだ教養人だった。彼はその該博な知識をもとに独特な組織論を展開し、類まれなる人心収攬の術をもって領国経営から人材登用を幅広く行う。その信玄の思想と行動は、家康に受け継がれるとともに現在も脈々と生きている。書下し“今に生きる信玄”に迫る山本史学の決定版。
目次
1 自らに帝王学を課した信玄の使命感
2 武田王国の王位継承劇
3 無敵騎馬軍団の神話と実際
4 財政基盤確立を目ざす地域開発
5 結束と能力開発の人使い信玄流
6 大業を水面下でささえた情報組織
7 山国から興ったことの得失
8 上洛への抱負と戦略
9 巨星墜つ
10 後継者の苦悩
11 江戸の青写真は甲府にあった
12 中世最後の光芒
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
21
帝王学というより、信玄の伝記です。内政面も含めかなり好意的に書かれています。私も信玄が好きなので読んでいて心地いいのですが、天下人を最初から目指していたのは信玄だけだという話は、違うのではないかと感じました。2022/12/15
神託技師
1
武田信玄論です。冒頭から戦国期で最初から上洛を志していたのはあの時代信玄くらいのもの・・・。とのことですが、他の武将はどの時期から上洛しての天下をうかがっていたかについても書いて欲しかった。信長は岐阜攻略前あたりから上洛を意識していたんだろうなぁ。戦、内政と才を発揮しながらも旧体制に属し、時の運と寿命に阻まれあえなく最後を遂げる信玄はなかなかに判官贔屓の心を刺激する人であり作者も個人的に好意を持っていたのではと思う。2012/10/18