光文社文庫 宿命と雷雨 - 長編推理小説

著者名：多岐川恭

光文社（2014/01発売）

• ISBN：9784334706296
• NDC分類：913.6

内容説明

堀野建設の社長秘書・坂出伊佐夫は、美人占い師・及川泉の調査を命じられた。社長が、彼女から８月中旬の雷雨の夜に死ぬと予言されたからだ！　坂出は、社長の〃宿命〃に挑み、女占い師の過去を探る。予言は的中するか？　死の恐怖に脅える堀野社長。そして８月１７日の夜、雷鳴が轟いた……。サスペンスあふれる長編力作！

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

[マヌヌ2号]

「8月の雷雨の夜、貴方は死ぬ」占い師の女にそう予言された建設会社の社長が、坂出という男を秘書として雇い、占い師の過去を探るように命じる……という筋。導入を読んだ時点では突飛な話だなぁとだけ感じたんですが、最終的には堅実なミステリに着地しました。探偵役の坂出が冷静かつ真面目に探偵をしていたので、余談の入る余地がなかった。とはいえつまらない訳では勿論なく、特に登場人物の心理分析の徹底っぷりはちょっと引くくらいすごかったです。心の動きの容赦なき解体が、小粒な動機を一級のホワイダニットに変貌させている。ブラボー！

2018/01/19