内容説明
「マハーバーラタ」と並ぶインドの誇る古典叙事詩にしてアジア人の心のふるさと、英雄ラーマの歌物語。原書の詩を散文に変え、読みやすくした童話風読み物。悪魔ラーバナを倒すため、神々が約束を交わして人間と猿の姿に降誕する。(下巻に続く)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かごむし
21
名著とは聞いていたけれど、3世紀成立ってすっごい古典だし、ヒンドゥー教の聖典のひとつと聞いていたので、絶対読書のエネルギーが必要なやつやと思って、長らく本棚に寝かしておりました。きっかけがあって読みはじめたのだけど読みやすくて面白い。寝る前に童心に帰って読むような本。上巻しか読んでないので全体の感想云々は述べられないけど、ストーリー展開や細かい描写など、現代人と古代インド人では発想が違うみたいで、いい意味で期待を裏切られて新鮮。さっさと読めばよかったと思うけど、だからこそ今読む楽しみがあるんだと思います。2022/05/12
Sakie
18
ラージャマウリの流れからつい買ってしまった。難解かと思いきや子供にも読める訳文で、インドを舞台にした長い昔ばなしみたいだ。序の解説には、これは吟誦詩人たちが口伝で各地に拡め、それはインドのみならず東南アジアまで広大に伝わる、誰でも知っているお話だという。勇者ラーマが艱難を乗り越え、聖者の力を貰いながら悪魔と戦う物語を、みな固唾をのんで聴き入ったことだろう。その構図は、形式も中身の構成も現代の映画と同じだ。楽しみの中に核と力がある。そしてシータ、いったいなぜなんだー!2024/03/02
梟をめぐる読書
16
サンスクリット語原典でおよそ48000行にも及ぶ大長編叙事詩『ラーマーヤナ』のダイジェスト版。魔王ラーバナを打倒すべく人間の王子ラーマへと転生した至高神、自らの魂の片割れであるヒロイン・シータとの邂逅、腹違いの弟バーラタを擁する伯母の策略による王位の簒奪と貴種流離…と、じつに「王道」尽くしの展開で、意外や意外、ホメーロスの叙事詩よりも格段に親しみやすい。神様の名前の表記の仕方が独特で、簡訳版ゆえに大筋だけの理解には留まるが、インド文化圏の最重要古典を知るための一冊として十分にオススメできる。2014/07/07
ひつじ
11
ラピュタや他の漫画などでちょこちょこ聞いた事のある神様の名前が。悪魔に虐げられる神様達がさらに上の神様と一緒に猿や人に生まれ変わって戦うようですが、その辺の仕組み(神様の上下や神様生まれ変わったらその間神様いないの?とか)が分からないけど面白い。2016/07/03
たみ
11
ヒンドゥーの勇者譚。成立は紀元前10世紀頃、現在の形式(歌物語)ができたのが紀元前4世紀~紀元2世紀頃だとか。範囲広いな…。日本でいうと桃太郎のような、ポピュラーな物語だそうです。ヒンドゥーの神様ビシュヌ神の化身であるラーマが主人公。無邪気な子ども時代、結婚、国からの追放、妻シータを魔王にさらわれる、と波乱万丈な展開。無敵っぽい神様の化身だけど後悔もするし落ち込んだりもする。虎や象、ヒョウ、ジャングルなど、異国情緒たっぷり。猿の軍勢の力を借りて、いざ敵地に。ラーマに忠誠を誓っている弟達が偉いと思うんだ。2014/10/01