内容説明
第二次大戦中、ヒトラーの対米宣伝に携わった劇作家ハワード・キャンベルの真意とはなにか? 第二次大戦中、ヒトラーの擁護者として対米宣伝に携わった劇作家ハワード・W・キャンベル・ジュニア--はたして彼は、本当にアメリカの裏切り者だったのか? 鬼才ヴォネガットがたくまざるユーモアとシニカルなアイロニーに満ちたまなざしで、自伝の名を借りて描く、時代の趨勢に弄ばれた一人の知識人の内なる肖像。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Vakira
57
ガチだが、真面目に愛の定義を考えてみよう。愛するとは他人のはずの君が僕の一部になってしまう事。だから、愛する人が消えてしまったら自分の生きがいは半減してしまう。もしくは自分の生きる意味を失ってしまうのだ。生物学的視点では自分の命の継承が無くなってしまうことだからね。よって、愛は自分の生命の一部って言も言い過ぎではない。さて、時は第二次世界大戦後、戦争犯罪による処刑が頻繁に行われている頃。もし、自分の愛した妻が自分を監視するスパイと分かってしまったら?愛の偽装。愛の定義からすれば、それは自分の存在否定。2023/10/12
GaGa
57
この作者の作品で一番いい作品を今まで読まない出来たなあと、読んだ直後にしみじみと思った(でも若い頃読んでいたら価値を理解できなかったかもしれない)いい小説ですよこれは、人っておかしいんですよね、やっぱり。でもだから人なんですよね。こういう作品があるからこの作者は今も高い地位でこの国で評価されているのですよね。2012/10/08
鼠∞
23
ヴォネガットの中では数少ない、SF色のまるでない長編。彼の「優しいニヒリスト」という異名が前面に出ている。劇作家で、暴力を嫌い誰にも手をあげることのなかったハワード・W・キャンベル.Jr。ただ、彼は戦時中ナチに加担してしまったがために戦犯とされ、義憤にかられた暴力的平和主義者達から追われる羽目になる。今でもよくある構図。根は善良なのに不本意ながら生きる為に不正を働かざるを得なかった、そういう人にヴォネガットが向ける視線は優しい。思い当たる人が読んだら、ちょっとくらい気分が軽くなるかもしれない。2018/05/04
fseigojp
22
ナチス協力の反ユダヤ主義者として戦後イスラエルに戦犯として裁かれたアメリカ人の半生。。。。ヴォネガット2作目、いやあ、もう止まりません2016/06/12
ボーダレス
18
劇作家でもあり、ラジオ放送のスターでもあった、ハワード・W・キャンベルJrの回想録のようなもの。時は第二次世界大戦、ナチスのイデオロギー宣伝放送を行いながら、アメリカへの機密情報を発信しつづけた。そう、彼は二重スパイなのであった。双方向から鑑みると英雄でもあり、戦争犯罪人ともいえる。戦後、生き延びてしまった罪深さから主人公の葛藤を偽物の妻を含め、シニカルに描かれ、Auf Wiedersehen,と締め括られている。2019/08/13
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