内容説明
「コンタはじつに善い犬であった。しかし、その善さについて、私はどう言いあらわしていいか、表現するすべを知らないのである。つまり、それはコンタの中に、それだけ私を超えてすぐれた資質があったということであろう」(あとがき)。気品と孤高の雰囲気を併せ持った愛する紀州犬の死を看取った時、「私の壮年期はコンタと共にありコンタと共に去った」という思いが著者を襲う。犬と人との出会いもまた、一期一会のものなのだ。よき伴走者にめぐまれた作家の切なくやさしい視線。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もりくに
62
中年以降、犬と猫を飼ってました。経験のある方は「ピン!」と来たでしょうが、娘が飼いだして暫くして上京、犬と猫が我が家に残りました。そして、皆さんと同じように「ペット」ではなく「家族」として、子供の居ない寂しさの多くを埋めてくれましたが、寿命はいかんとも出来ず、犬と猫の居ない生活となりました。「ペット」を失った人は二分され、すぐ新しい「ペット」を飼い出す人と、金輪際飼わない人です。私は断然、後者のつもりでいましたが、最近帰省した娘の「また、飼ったら?」に、大いに揺さぶられています。そんな時、本棚のこの本が。2024/09/12
おい
2
犬を愛し、犬と過ごした筆者の気持ちがユーモラスに表現され、心暖まる。何も特別なことがなくても、文章力があれば、こんな表現ができるのかと羨ましくも思う。 ★★★2018/04/03
かりんとー
1
愛犬コンタへの深い愛情。2015/08/23