内容説明
1982年9月、著者は戦後三十七年にして初めて現地を訪れ、“悪魔の部隊”の痕跡を辿った。日本陸軍が生んだ世界最大規模の細菌戦部隊の本拠地「平房」に生々しく残っていた悪魔の爪痕!!マルタは本当に全員殺されていたのか? その遺族は? 特設監獄のあとはどうなったのか?第一部、第二部が加害者の証言の上に成っているのに対し、本書は徹底した現地取材に基づく被害者の側からの衝撃の告発の書である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
86
第731細菌戦部隊の実態を追うシリーズの第3部。第2部が写真誤用問題を起こし、その対応のため第3部の出版は1985年と3年後。第1・2部は生き残りの主に下級隊員という加害者の証言を基に綴られたもので、著者はまだ現地を訪れていない。いよいよ82年9月、ハルピン郊外の跡地を訪れ関係者から話を聞く。第3部は戦後37年にして訪れた現地取材に基づく被害者側の”告発の書”。当時、土地を接収され路頭に迷った農民や苦力として施設の建設に狩出された生き残り住民の証言。施設を爆破して部隊退去後、ペストが猖獗を極めたという。2022/09/21
100
37
1から3部まで読んで、表現の煽情的な1、2部よりも著者の主張の記述が多く文調も落ち着いた3部が一番感じるものがあった。内容の信頼性に疑問を唱える意見もあるようだが、証言を基にしている部分はある程度の齟齬を想定して読むべきと思う。 著者は平和のために戦争の残酷さの記録・周知の必要性を訴えている。そこから考えていると戦争と平和について、よくわからなくなってきた…2020/12/03
こやまるぅ
3
読んだ種類が登録されていなかったので代用。私が読んだのは【続 悪魔の飽食】でした。撤退時の話と石井四郎他隊員の戦後の話。2014/12/09
myumyu
2
作者の言うとおり、日本人は自分たちの過去に犯した罪を隠ぺいしたり改ざんしたりするのではなく、きちんと事実を明らかにし、認めたうえで二度と同じような過ちをおかすことがないよう努めるべきであるとつくづく思った。2009/12/02
Mr.deep
1
中国への旅コース。前巻で顕れ始めていた党派性と主義主張が、写真誤用問題による大バッシングから来る被害者意識も相俟ってか、もはや隠すつもりもないようで。それを抜きにしても内容はまったく工夫も何もない単なる取材旅行記なので正直読む価値は。稀代の名著の末路がこれとはなんともはや。2023/04/15