内容説明
藩命によって桂小五郎が木戸姓に改名したのは慶応元年九月、前年の禁門ノ変で幕府のお尋ね者となったためである。八カ月の間、但馬・出石に潜伏して萩に戻った小五郎は、藩命を受けてふたたび京都へ出、坂本竜馬の斡旋で、薩摩の西郷隆盛と結び、維新回天の原動力となる薩長同盟を作り上げた。──疾風怒濤の時代を生き抜き、明治新政府の高官として登場する木戸孝允は、まるで別人格のような肌ざわりで生彩に欠けるとの世評に対して、善意の視線で彼の生きざまを描く感動の長篇小説。
感想・レビュー
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さっと
8
桂小五郎(木戸孝允)が主人公だけれど、これはもう、明治政府という国家建設の難産を見ているような物語だった。幕藩体制をぶっ壊して、天皇制のもとに統一国家をつくるべく、教科書の太字にあるような政策であらゆる方面に手がつくされる一方、藩閥による政府内の権力抗争など前時代が影を落とす。己の利権優先のために、同藩の士であっても反目する、敵対していた藩の者同士であっても打算的に動く。節操がないねー。まぁ、キレイゴトで回るほど世の中は甘くはないし、人間ドラマとしてはおもしろいけどね。2014/04/24
アキ
0
病気と心痛でぼろぼろになりながらも人民のために生きる木戸さんが、やっぱり好きだなと思いました。2012/10/02