内容説明
人はただ、やつのことを「健」と呼ぶ。無籍者で、住所不定。どの組織にも属さない一匹狼だ。かつて「麻雀放浪記」のなかで、出目徳の死体を裸にひん剥いて、泥溝の中に叩きこんだ、あの健とご承知おき願いたい。但し、あれから十年たった頃のお話である――。種目は麻雀、チンチロリン、手ホンビキ。一匹狼達の、身を切られるより辛い金を張っての凄まじい闘いが始まる! 「麻雀放浪記」の阿佐田哲也が放つ、長編悪漢小説(ピカレスク・ロマン)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆーいちろー
4
ある意味、坊や哲より有名な阿佐田キャラクターの名前を冠した長編ギャンブル小説である。本作にはめずらしく女性キャラクターが、比較的ストーリーに関わってくる。個人的には小泉伊佐子がドサ健に引導を渡される場面が妙に叙情的で、美しい。ギャンブルでもなんでも、何かをあきらめて身を引く場面は悲しい。2010/08/30
タイコンデロガ級
3
葬儀屋の高島が言った「人が喜ぶようなことは一つもしないんだ、あの野郎は」という台詞。 これ以上ないくらいにドサ健の事を的確に表している。2018/03/04
たかひろ
2
20年ぶりに読んだ。『麻雀放浪記』の主要キャラ「ドサ健」が主人公で、東京の地下賭場を舞台に「手本引き」という博打で破滅していく人間たちを描く。この手本引きという博打、あらゆる博打をし尽くした人間がたどり着く最後の博打とされており、「博打の華」「賭博の終着駅」「究極のギャンブル」と呼ばれるという。2024/01/29
ひづみ
2
ひさしぶりに読んだけど、導入部分から既に人でなし感が出てて実に面白い2016/05/21
レコバ
2
ほとんどえげつない描写は無くダークな世界観を気軽に読める感じだった。どう結ぶのか楽しみ。2014/11/27