内容説明
是が非でも、牽引力の強いあのC12機関車がほしい! 半島鉄道の田舎重役・屋代は必死だった。なにかと小会社の邪魔をする鉄道振興会の圧力をはね飛ばすために、非常手段のハンストも辞さない構えだ。なにしろ、大正時代に造られた、オンボロ機関車では、沿線の人口増の輸送に追いつけない。客車の窓ガラスはなく、屋根から雨が漏り、客は傘をさして乗っている。その上、馬力がないからたった3両の貨車しかひけず、野菜など生鮮食糧品が駅に山積みのまま腐ってしまう! 妻に愛想をつかされ、失明の悲運にもめげず、猛烈な経営者根性と湧きでるようなアイデア。すさまじい“男の生きざま”を描いた最高傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まつうら
57
タイトルから、ハンディを負っている分特異な才能が光る人物を想像したが、そうではなく、激務のすえ過労で失明してしまう主人公の物語。主人公・屋代は火事場に強いやり手のビジネスマンで、失明したのちの活躍の方がよりいっそう輝く。嵐に見舞われて沿線一帯が壊滅的な被害を受けても、復旧させるぞと盲目にもかかわらず陣頭指揮を買って出る姿勢には驚かされる。トップの小宮が小心者でだらしなく描かれている分、屋代の凄さが一層ひきたつ。ラストシーンでは会社が買収され経営陣の刷新を迫られるが、屋代は引き際も見事。そんな潔さが好印象。2023/06/09
あんPAPA
0
それなりに面白いが、山崎豊子氏の作品(大地の子)の次に読むと漫画的というかシリアスさに欠けるというか・・・。2014/12/26