内容説明
昭和10年1月、書き下ろし作品として松柏館書店から自費出版された。〈日本一幻魔怪奇の本格探偵小説〉〈日本探偵小説界の最高峰〉〈幻怪、妖麗、グロテスク、エロテイシズムの極〉という宣伝文句は、読書界の大きな話題を呼んだ。常人では考えられぬ余りに奇抜な内容のため、毀誉褒貶が相半ばしている。〈これを書くために生きてきた〉と著者みずから語り、十余年の歳月をかけて完成された内容は、狂人の書いた推理小説という異常な状況設定の中に、著者の思想、知識を集大成する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
576
この本が昭和十年に発表されたというのがまず驚いた。何故かと言うと精神を患っている人の現状の治療の問題点や胎児についての考察など、最近の科学で分かってきていることも入っているような気がしたからだ。上巻を読んだ所でいろんな謎や複雑な構成でどうなっているのかわかりにくかった。下巻も読んで真相を知りたくなった。2017/03/20
Kircheis
533
★★★☆☆ 日本三大奇書の一つであり、後世のサブカルチャーに多大な影響を与えた大作。再読だったのでサクッと読めたが、初読時はかなり手こずった。 難解な内容でも有名だが、プロットは単純。ただ精神病に対する正木博士の考察が中盤から延々と続くので、その部分を読み切るまで我慢大会のような状態になる。 特に上巻は変化に乏しいので大変。 若林博士には自分の力で名前や過去を思い出して欲しいと言われていたのに、あっさり映像と手記で名前と過去にあったことを仄めかされ、「おいおい」と突っ込みたくなるところで下巻へ。2023/06/18
そる
380
読みにくく回りくどく内容も部分によるがなかなか入らず。統合失調症の方の頭の中、みたいな文章。主人公は正体をなくしていて周辺の博士や医師は何か知っているがなかなか真実を明かさず何が起こっているのか不明、そして博士達もかなり変人。頭が良すぎるのかも。精神病者とその家族に降りかかる末路を歌う漫談のようなのは現代でも似たようなもんでかなり理解できる。最後はサスペンス?ミステリー?何が言いたいか分からない。「頭の働きの不叶いなところを持っていない者はない。すなわち精神病者と五十歩百歩の人間でない者はいないのだ。」2021/09/20
旅するランナー
265
ああア-ああ-アアア。右や左の御方様へ。紳士淑女、お年寄りがた、お若いお方。ビブリア古書堂の事件手帖IIIで引用された作品じゃ。脳髄論や胎児の夢、人間の精神世界へのめり込む、とんでもない奇書じゃよー。これを読んだなら、精神に異常をきたすと言われとるよー。読め···聞け···驚け···呆れよ。チャカポコ、チャカポコ····· 2022/07/04
ちくわ
219
日本三大奇書と知り興味が湧く…ページ数を知り読む気が失せる…読みたい本が無く再度手に取る…読破出来るか不安で読む気が失せる…こんな茶番を4、5回繰り返し、やっと読み始める。…ド理系だから?割と理解出来たように思う。ただ時間軸やら虚実やら複雑に絡み合うのが予見出来、読破までに脳が疲労困憊しそう。…それにしても延々と続く半端ないこねくり! 片頭痛に悩みながら、ここまでコネクレル作者の知識と想像力に驚愕!そして読者置いてけぼりもナンノソノ、難解極まるキチガイの世界へ引き摺り込まれそうで困惑!下巻を読ムのが怖イ。2024/12/01
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