内容説明
地方から都会に出てきて、ひとりで暮している若い女のもとに届いたダイレクト・メールの内容は? だれもが見すごしてしまいそうな、目立たない家に住んでいる夫婦者の正体は? 熱帯の小さな国の独裁者に捕えられた男の運命は? めまぐるしく移り変る現代社会の裏の裏のからくりを、寓話の世界に仮託して、鋭い風刺と溢れるユーモアで描くショートショート28編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nanasi
169
表題作を含めてショート・ショートが28編収録されています。カバーデザインは真鍋 博さんです。かんべむさしさんが解説をしています。「かぼちゃの馬車」と「なるほど」がお気に入りです。2013/11/05
Tetchy
91
「なるほど」は思わず読了時に「なるほど」と呟いてしまった。「ナンバークラブ」はもろコミュニティサイトの事ではないかい?もしかしてIT起業家たちは星新一の諸作を参考にしてコンテンツの作成をしているのではないかと勘繰ってしまうね、こういうのを読むと。2008/09/07
しゅわ
59
勝手に星さん再読祭り第40弾は現代社会への鋭い風刺をユーモアで包んだショートショート28編を収録。美しさについて考えさせられる表題作を含め、シンデレラや一寸法師などの物語をモチーフにしたものも多いのが特徴の一冊。「樹」や「超能力」のシンプルな毒が心地よいです。「確認」「ナンバー・クラブ」「子供の部屋」の現代社会への痛烈な皮肉は耳が痛く、いつもながら作品発表が昭和なのを確認して愕然としてしまいます。特に好きなのは二重の意味でのどんでん返しが鮮やかな「処刑場」ショートショートの見本のような作品です。2015/08/18
KAZOO
55
ショートショートと短篇とその中間のような作品がありバラエティに富んでいる感じがします。比較的現実になりそうな話や皮肉たっぷりのもあり楽しめました。「悪魔の椅子」は私の大好きな部類に属します。2015/02/01
活字の旅遊人
52
中学時代にたくさん読んだはず、と思っていたが、おそらくこれは未読だった短編集。表題、表紙絵からメルヘンチックに思えるが、そんなはずはないのですね。ただ印象に残ったのは表題作よりも「ご要望」「七人の犯罪者」「大洪水」「高度な文明」「確認」「ナンバー・クラブ」。そして数行ずつの日記形式で、日付ごとに人格が入れ替わる「交代制」は今更ながら斬新。風刺が効いていて、楽しくなったり、むしろ怖くなったりと短編ごとに入れ替わる読後感がたまらないです。年齢を重ねてからの星新一も面白い。これも続けよう。ブックオフ、よろしく!2021/09/09