内容説明
設計主務、堀越二郎34歳。開発スタッフの平均年齢20代。国家の存亡を賭けた新鋭機は、若者たちの手によってつくられた――。
日中戦争後期から太平洋戦争を通じ、5年もの間日本海軍の主力戦闘機として戦い抜いた零式艦上戦闘機、通称零戦。今また映画『風立ちぬ』や百田尚樹さんの小説『永遠の0』などで注目を集めていますが、この高性能戦闘機が世に出るまでには、若い技術者たちの長く苦しい闘いがありました。彼らは、技術後進国という厳しい条件下で、いかにして外国機をしのぐ新鋭機をつくり出したのか? 『風立ちぬ』主人公のモデル、堀越二郎氏へののべ40時間にわたるインタビューをはじめ、当事者たちへの徹底取材に基づいて書き上げられ、1977年に刊行された長篇ノンフィクション。「零戦」を知るのにこれ以上の本はなく、当時を知る人のほぼすべてが鬼籍に入ってしまった今、これからも書かれることはないでしょう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
75
非常に面白かったです。零戦というと「太平洋戦争」「特攻隊」が思い浮かぶけど、あの本を読んで零戦(三菱零式艦上戦闘機)に興味を持った人は読んでみると良いかも。設計主務者堀越二郎氏と零戦がいかに作られたかのドキュメント。戦争からは少し離れて、技術後進国日本の中で、試作機の墜落事故という壁を何度も乗り越えて、「零戦」という世界に傑出した「工業製品」が創られるまでのドラマです。そういえば、あのジブリの映画も彼をモデルにした話だそうですね。宮崎氏がどのように描いているかも興味深いです。★★★★★2013/07/03
おか
33
その時代の粋を集めて造られた「零戦」。戦争という愚行の中にあって どう粋を集めたのか その物造りの過程が知りたくて読了。というのも日本における昨今の物造りに疑問を持ったから、、、あの豊洲市場の件で。零戦でも 他社との競争もあり、利潤追求もあり、他者からの押し付けもあり 環境としては今とそれ程変わりはない。しかも当時は技術も物資も今よりはるかに不足している。しかし その中で堀越以下三菱の社員が 其々の能力を出し切って 良い物を より良い物を造ろうと突き進んで行っている。そして その飛行機に乗る身に➡️続2016/11/20
Eiichi
31
堀越二郎が零戦を完成させるまでのドキュメンタリー、永遠の0や風立ちぬ、の関係で読んでみた。内容は凄く堅いが、興味深い話がたくさんあった。日本の技術者の凄さが良くわかる。2013/10/19
KEI
29
日中戦争後期から日米開戦まで世界に類がない活躍をした零戦の開発はどの様にされたのか、堀越二郎氏はじめチームスタッフの聞き取り取材や膨大な資料を元に書かれたノンフィクション。77年発刊なので、古い本ではあるが当時の技術者達の意欲、悩み、努力が生き生きと伝わる。資源不足、軍部の不可能を可能にせよと言うような指示。この様な状況の中で、零戦が生み出された事を知ることが出来た。戦争は技術革新の大きな要因だと思うが、その要因が無くても技術者は新しい事に挑み続けて行くのだろう。秀作。2015/11/22
り こ む ん
25
吉村さんの史実物語にたいして、技術者の証言と資料を積み重ねたノンフィクション。技術とは?物を産み出すまでの苦悩と努力が、詰まった作品。以前、プロヒィールに(初期の)戦争に対しての疑問を書いていて、それにたいして、ご意見をいただいた事があったけれど、戦争あるから、技術の向上や後の日常に活用されているモノがあり、今、貴方が便利に活用しているモノは戦争のお陰なのです。と、言われた事があった。私が知りたいく疑問に思っているのは、正直、まったく違うのだけど…2014/08/05