内容説明
夜目にも鮮やかに咲きほこる白い芙蓉の花に包まれた石畳を踏みしめながら、巡査は玄関へ入った。人の気配は感じられない。暗がりの中を探りつつ、彼は問題の部屋に辿り着いた。灯りのスイッチを押すと、バラ色の光が部屋に溢れる。だが次の瞬間、彼は殴られたような驚愕に打たれた。敷きつめられた派手な模様の絨毯の上に、胸から鮮血をしたたらせた女の変死体が……。それぞれに複雑な殺害動機を持つ7人の容疑者と、素人名探偵都築欣哉の対決を描く表題作ほか7編を収録。
カバーイラスト/杉本一文
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
109
★★★★☆ 表題作は横溝正史の書いた初長編ということになっているが、実際は中編くらいの分量。もっとも、本格ミステリという意味では初ではないだろうか。 それなりに読み応えがあり、さすがは横溝という感じ。ただ探偵役の都築欣哉の天才的魅力を描ききれていたとはいえないかな。 とはいえ金田一耕助が生み出される20年近く前の作品として、興味深く読めた。 それ以外の短編もそこそこ。特に『生首事件』は王道トリックで好み。2019/10/12
Kouro-hou
11
昭和初期短編集。1927から30までの発表作8本であり、モダン、ユーモア、ナンセンス系から本格探偵小説方面へシフトしていく過程が見える。特に表題作は横溝初の長篇ミステリ連載と言ってもよく、さすがに要素がゴチャゴチャしてるとか真相ストレート等もあるも、犯人当てクイズに使用する為のヒントの整理、後の主力ネタである過去の因縁の出し方などが意欲的に見える横溝28歳の作品。一方「三本の毛髪」は、初の国産探偵小説「無惨」のオマージュをやりつつ密室殺人な話ですが、あんまりな密室トリックにちゃぶ台返ししたくなりますw2014/08/26
カニック
8
金田一耕助が誕生するずっと前の作品。表題作の中編と短編が7篇で構成されていますが、どれも秀逸でした。読み応えたっぷり。2020/10/23
ton
5
昭和五十三年本。サクッと短編6本でウォーミングアップからの表題作、そしてラスト超短編1本でお口直し、な構成かな。表題作・・・素人探偵奮闘に対する犯人氏の身勝手自爆オチな動機の尻すぼみ感が勿体ない。2023/10/30
Dげん
5
横溝正史が昭和二年〜五年の間に発表した短編を収めた一冊。初期の作品群であり、酷い終わり方をするものから、表題作のような読み応えのあるものまで様々。横溝ファン以外に読む価値は無さそう。2021/04/03
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