背中の勲章

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背中の勲章

  • 著者名:吉村昭【著】
  • 価格 ¥506(本体¥460)
  • 新潮社(2013/06発売)
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  • ISBN:9784101117126

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内容説明

昭和17年4月18日――太平洋上の哨戒線で敵機動艦隊を発見した特設監視艇・長渡丸の乗員は、玉砕を覚悟で配置につき、死の瞬間を待った。けれども中村一等水兵以下五名は、米軍の捕虜となり、背中にPWの文字のついた服を着せられて、アメリカ本土を転々としながら抑留生活をおくった――。運命のいたずらに哭く海の勇士の悲しい境涯を通して描く、小説太平洋戦争裏面史。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

198
アメリカ本土を転々と抑留生活を送った日本人捕虜第二号・中村末吉一水兵。氏の四年半に及ぶ捕虜生活を、淡々と冷静に吉村作家の筆致に気持が苦しい読書になった。私は厳しいシベリア抑留を耐え帰国した亡き父を思い、今更ながら色々ちゃんと聞いておけばよかったと悔やむのだ。言いたがらない父ではあったが、9月1日は舞鶴に帰還した父の復員記念日だ。その父がいて今の私がある。2021/08/16

yoshida

126
対米戦争で捕虜となった主人公が故郷に戻る迄を描く。開戦初期に捕虜となったこともあり、米軍は厚遇する。徐々に増える捕虜により日本軍の苦戦が伝わる。ミッドウェー、アッツ、ガダルカタル、サイパン、沖縄。沖縄以降の捕虜がなく、日本が攻勢に転じたかと主人公は期待する。実際に待っていたのは敗戦だった。与えられた服の背中には捕虜を示すPWの文字。捕虜は恥と考える日本軍人には屈辱の表示。敗戦後に帰還しても捕虜の件は咎められず、親類の万歳に迎えられる。捕虜になった身としては複雑だろう。興味深く読了出来た作品です。2020/01/11

しいたけ

102
太平洋戦争で、米軍に日本人捕虜第2号として捕らえられた中村末吉一水の物語。PWと記される背中の文字を「勲章」とするには理由がある。4年半にわたる長い捕虜生活、移される場所ごとに様々な出来事がある。それでも誇りを失わず戦いきったもう一つの戦史がそこにある。ネタバレを押したくないので結末に絡むことは書かない。胸が熱くなるとだけ、そっと伝えたい。2018/09/01

タツ フカガワ

79
昭和17年4月、中村末吉一等水兵の監視艇は洋上に米艦隊を発見し本営へ打電するが、敵艦の攻撃に船は撃沈。中村ら乗組員は敵艦に収容される。「生きて虜囚の辱めを受くるなかれ」の教えから何度も自死を試みる中村水兵だが、以後4年余をアメリカ本土で過ごすことに。本書はその日々を克明に追ったもので、捕虜収容所から見たもう一つの太平洋戦争史でもある。ある日、行き先も日本の敗戦も知らされず乗せられた船から見た富士山に絶叫が上がるところでは、思わず涙。空しさばかりがこみ上げてくる内容ですが、これは貴重な戦争記録でもあります。2023/05/05

shizuka

75
捕虜になることは恥辱。捕われた国アメリカでは名誉。まずそのギャップに日本兵は混乱する。彼らはアメリカの地で日本が勝利することだけを生き甲斐に生き続けた。いつか日本軍はアメリカ上陸するだろう、その時は一斉蜂起し友軍として一矢報いるのだと。月日は無情に流れ日本は無条件降伏する。そのことを知らされぬまま祖国へ送り返され、敗戦の事実をいきなり目の当たりにする。祖国は疲れきっていた。彼が知っている温かい日本人もいない。アメリカ以上の疎外感を味わう。背中の「勲章」は運命に翻弄された彼らへのせめてもの労いの言葉なのだ。2018/02/13

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